"母に贈った家を狙う親戚夫婦" 第4話
浩司の顔がわずかに引きつった。
ここまでやっていたのか。
私は穏やかにをげた。
「佐藤さん、し誤解があります」
「え?」
「私は転勤しません」
はっきり言った。
「それから、このを浩司さん夫婦へ任せた事実もありません。母の入院に、着替えを取りにくなどの簡単な伝いをお願いしていただけです」
佐藤さんが浩司を見る。
「でも、ずっとむって……」
「そういう話は切ありません」
沈黙。
私は微笑んだ。
「母が戻りましたら改めてご挨拶に伺います。朝からお騒がせして申し訳ありません」
佐藤さんは事を察したのか、それ以聞かず帰っていった。
浩司は顔を赤くした。
「余計なこと言うなよ」
「嘘を訂正しただけ」
「所付きいってものを考えろ」
「私がへ転勤するっていう所付きいがあるの?」
浩司は答えなかった。
私はそのまま宅の管理会社へ向かった。
母が暮らす域では、防犯と景観管理のため、期利用両や入居者報について定の届けが必だった。
窓で名を告げると、担当者がし困った顔をした。
「森田様、実は昨……」
「浩司が来ましたか?」
驚いたように担当者が私を見る。
「はい。ごじでしたか」
「何を申請しました?」
「期利用の駐登録です。ご自をこの所の居者として登録したいと」
私は目を閉じた。
な留守番ではない。
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確実に居実績を作ろうとしている。
「受理されましたか?」
「いいえ。宅所者様からの確認が取れていませんので保留です」
「正式に拒否します」
私は言った。
「浩司夫婦にこの宅についての権限を切与えていません。今同様の申請があれば、必ず私へ連絡してください」
「承しました」
担当者は記録へ残した。
話が終わったところで、彼がいしたように言った。
「もうつあります」
「何ですか?」
「申請が保留になった際、浩司様が産関係の法律事務所について何度も聞いてきました」
私はゆっくり顔をげた。
「法律事務所?」
「名義や権利関係を相談できるところはないか、と」
胸の奥がたくなった。
ただみたいのではない。
もしかすると、そのものをに入れようとしている。
私はすぐリハビリ施設へ向かった。
母のから、直接確認しなければならなかった。
施設の談話で、母は窓のを見ていた。
「お母さん」
振り返った母が驚く。
「裕子? どうしたの、張は?」
「く帰ったの」
向かいへ座り、私はで起きていることをつずつ話した。
浩司と里美が荷物を運び込んでいる。
所へ同居すると話している。
駐の登録までしようとしている。
母の顔がみるみる変わった。
「そんな……」
「このは?」
私は写真に撮っておいた管理依頼の文面を見せた。
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母は目を見いた。
「私、こんなでいたんじゃない」
「何を頼んだの?」
「着替えを取りにってほしいってお願いしたの。それと……」
母はごもった。
「浩司がね、空きにしておくと棒が入るから、々見回りにってあげるって言ったのよ」
「それでをいた?」
「のため、私が頼んだって分かるようだけいてくれって」
母の目に涙が溜まった。
「んでいいなんて、度も言ってない」
「は?」
「?」
「母が入院したのはよね」
「そうよ」
「はにいた?」
し考えた母が顔をげる。
「あのは町内会のバス旅だった」
「何まで?」
「朝から夕方くらいまで」
やはり。
浩司が予備キーを使った最初の記録は、午。
母がだと分かっているだった。
「浩司から何か連絡は?」
母はスマートフォンを取りした。
メッセージを遡る。
あった。
午分。
《おばさん、今は旅で留守だよね。くを通るからの空気を入れ替えておくよ》
母の返信。
《ありがとう。助かるわ》
それだけだった。
「これよ」
私は画面を保した。
「空気の入れ替えしか頼んでない」
のメッセージもあった。
《入院することになったから、着と着替えを取ってきてもらえる?》
浩司は、
《分かった。すぐくよ》
と答えている。
管理。
同居。
荷物搬入。
どの言葉もない。
からかせた枚のだけを利用し、内容を勝に広げていたのだ。
「ごめんね、裕子」
母が泣きした。
「私が簡単に鍵なんか預けたから」