"赤いガーベラと私の家" 第6話
「犬、飼ってるんですか?」
「見にきます」
みちるは急にになった。
「今度の曜。午でいいですよね?」
「私はいいけど」
「のも確認させてもらいますから」
確認させてもらう。
その言い方に、私はわず笑いそうになった。
まだむつもりなのだ。
「好きにすれば」
話を切った。
すぐ美子に連絡した。
「曜、裕たちが来ることになった」
「いよいよ?」
「いよいよ」
「犬のこと聞かれたでしょう」
「うん」
美子は笑った。
「裕くん、昔から犬苦だったもんね」
裕は学の頃、散歩の型犬に突然吠えられて以来、犬が苦だった。噛まれたわけでも追いかけられたわけでもないのだが、体のきな犬を見るだけでの反対側へ移るほどだった。
「でも、怖がらせるためだけに犬を使うのは嫌よ」
私は言った。
「もちろん。あの子たちに嫌なことはさせない」
美子も真面目な顔になった。
「たちは普通に私と遊びにくだけ。吠えさせる必もないわ」
それで分だとった。
本当の目は犬で追い払うことではない。
このが私のだと分からせること。
私はの政婦ではないと伝えること。
そして同居を正式に拒否すること。
そのために、司法士からもらった助言を参考に、簡単な面を作った。
《同居及び所利用についての確認》
、私は裕・みちる夫妻との同居に同しない。
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、私の許なく荷物を搬入しない。
、私の所を居先として各種契約に使用しない。
、鍵の貸与はわない。
難しい文章ではない。
でも、今までだけで拒否していた私にとってはきながあった。
曜の朝。
美子は半に来た。
と空を連れている。
は美子の夫と留守番だった。
「本当に連れてきてよかった?」
「いいの。普通のお客さんとして遊びに来てもらっただけだから」
と空はリビングのラグのへ伏せた。
きい。
黒く艶のある体。
らないが見れば圧倒されるだろう。
だがとも静かだった。
ちょうど。
インターホンが鳴った。
ドアをける。
裕とみちる。
「本当に来たのね」
「来るって言っただろ」
裕は嫌そうだった。
みちるは玄関からすでに内を見回している。
「ったよりさい」
最初の言葉がそれだった。
「だから最初から言ってるでしょう」
「でもならめますよね」
「になるけど」
「お母さんはリビングを――」
そこで私は遮った。
「その話はもうしないで」
みちるがを閉じる。
「とりあえずがれば?」
が靴を脱いだ。
私はリビングの扉をけた。
その瞬。
裕のが止まった。
みちるも固まった。
ラグのにと空がいる。
は美子の指示を待ち、静かに座っていた。
「……母さん」
裕がずさった。
「何?」
「犬……」
「うん」
「なんで」
ソファにいた美子がちがった。
「こんにちは」
みちるの顔が引きつった。
「この犬……ここにいるんですか?」
「今はいるわね」
私は答えた。
「今だけ?」
「それをあなたに説する必ある?」
みちるのが閉じた。
そこで私は確信した。
このは、私が何を好きか。
どんな活をしたいか。
何をに置くか。
そんなことに興がなかった。
りたかったのは、自分たちが適にめるかどうかだけだった。
「座って」
私はダイニングテーブルを指した。
「今は、引っ越しの話を終わらせるために来てもらったの」