"赤ちゃんの声が聞こえる姪が、夫の嘘を見抜いた日" 第5話
茶い封筒の枚目
調査始から週。
私は以より穏やかに振るうようになった。
徹が暴言を吐いても反論しない。
帰宅が遅くても聞かない。
カード細のこともにしない。
疑っていると悟られれば、相がどうくか分からなかった。
「最、おおとなしいな」
ある夜、徹が言った。
「そう?」
「はいちいち酒むなとか言ってたのに」
「疲れたから」
「最初からそうしてりゃいいんだよ」
勝ち誇ったような顔。
私は微笑んだ。
その裏で、調査会社から届く報告はくなっていった。
女性の名。
勤務先。
徹が頻繁に会っている事実。
贈り物。
での支払い。
借。
そして女性側は、徹から「婚する予定」と聞かされている。
さらに担当者から、予の連絡があった。
「相の女性も、ご主の話を全部信じているわけではないようです」
「どういうことですか」
「ご主がで銭トラブルを起こしているため、側も警戒しています。確認できる資料について協力してもらえる能性があります」
数。
私は枚のコピーを受け取った。
婚姻届。
もちろん提済みではない。
きかけのものだった。
夫になるの欄。
《鈴徹》
妻になるの欄には、私ではない女性の名。
がたくなった。
「これ……」
担当者が説した。
「女性側へ将来を約束するために見せていたもののようです」
広告
「私と婚してないのに」
「提はできません。ただ、なくともそういう話をしていた証拠にはなります」
私は苦笑した。
方では私へ暴言。
方ではの女性へ将来を約束する。
そして私には額な命保険。
「まだあります」
私は顔をげた。
担当者が別の資料を置いた。
徹が過数か、保険について複数回問いわせをしていた記録が確認できたという。
私が把握していなかった契約変更。
額な保障。
さらに。
ある期から、事故に関する補償内容ばかりを確認していた。
それだけなら、まだ犯罪とは言えない。
けれど弁護士は言った。
「これ以、ご主ときりで活を続けることは勧めません」
「息子もいます」
「なおさらです」
私はそののうちに、両親と兄夫婦へ事を話した。
父はちがった。
「すぐ連れてこい」
兄も顔を変えた。
「徹を今から呼びす」
「待って」
私は止めた。
「まだ駄目」
「何が駄目なんだよ!」
「私が全部準備してからにしたい」
にぶつかれば、徹は「全部誤解だ」と逃げる。
それが嫌だった。
私が欲しかったのは鳴りいではない。
徹自が逃げられない状態だった。
そこで、かに予定していた悠真のおい初めのを利用することにした。
私の両親。
兄夫婦。
義両親。
全員を実へ集める。
徹には普通の族事だと伝える。
そのに、弁護士へ相談し、必な資料をそろえておく。
広告
私はそう決めた。
議なことに、その頃から悠真は以ほど激しく泣かなくなった。
美久が来たを境にしたように、よく眠るようになったのだ。
「悠真。何か美久ちゃんと話したの?」
もちろん返事はない。
さなをぱたぱたかすだけ。
それでも私はし笑えた。
そして迎えた当。
実には両の族がそろった。
誰もが悠真を囲んで笑っていた。
徹も、そのまでは嫌だった。
部の隅で絵を描いていた美久が、突然顔をげるまでは。
美久は鉛を置いた。
悠真の方へ歩く。
ベビーベッドへ顔を寄せた。
「赤ちゃん、また言ってる」
徹の笑顔が止まった。
私は静かに尋ねた。
「何て?」
美久はすぐには答えなかった。
度だけ、徹を見た。
そして私の方へ向き直った。
「ママにひどいことしないでって」
部が静まり返った。
徹が乾いた笑いを漏らす。
「子どもの言うことだろ」
美久は笑わなかった。
「だって」
歳のさな体で、徹のにった。
「赤ちゃんに、いなくなってほしいんでしょ」
徹の顔から、瞬で血の気が引いた。
そして私は。
鞄のに入れていた茶いファイルへ、静かにをかけた。