"私にだけハズレ料理を出す義母の誤算" 第5話
暴かれたと黒
「な、何を馬鹿なこと言ってるのよ、真希さん! そんなを賭けるようなことじゃないでしょう!」
子の声がずり、元の箸がカタカタと震えた。
「いいから、適当に取ればいいのよ! たかがおかずじゃないの!」
「いいえ、はっきりさせましょう。お義母さんがいつも仰る『素らしい偶然』の正体を」
私は迷うことなくを伸ばし、子が先ほど線を送っていた、皿のに置かれた平べったいカツを箸で挟みげた。
自分の取り皿に載せ、あらかじめ用されていたナイフで、迷いなく真んから刀両断する。
サクッ。
が割れた断面から現れたのは——ジューシーな挽き肉などではなかった。
とピンクのツートンカラーをした、蒸しかまぼこの断面が、湯気とともにくっきりと姿を現した。のみを調し、見だけはメンチカツと寸分違わぬきさに偽装された、完璧な作品。
「あーあ。やっぱり、私でしたね」
私はわざとらしくきなため息をつき、断面を子の目のに突きした。
「お疲れ様でした、お義母さん。メンチカツと同じきさになるように、かまぼこをわざわざ成形して揚げてくださったんですね。ずいぶんがかかったでしょう?」
「ぐ、偶然よ! 誰に当たるか分からないって、最初に言ったじゃない!」
子は顔を真っ赤にして叫んだが、その声は完全にずり、引きつっていた。
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「偶然、ですか? ずいぶんいですね、お義母さんの『偶然』は」
私は背筋を伸ばし、度も乱すことのなかった声音で、淡々と事実の弾丸を装填した。
「毎毎、私の茶碗にだけ押し込まれる炭のように真っ黒なおこげ。肉が欠片も入っていない煮物の鉢。殻をわざと残して揚げられたエビフライ。豚ヒレ肉の代わりに揚げられた、悪臭のする脂の塊。骨抜きを切していないアジの刺。親指の巨な卵の殻が沈んだ茶碗蒸し……」
つ、またつと事実を並べてるたびに、子の顔は赤から気へと変わり、刻みに震え始めた。
「これらすべてが、ピンポイントで私の皿だけに届く確率って、体何万分のなんでしょうね? 宝くじでも買われたらいかがですか? それとも、私のことだけを正確に狙い撃ちする、恐ろしい超能力でもお持ちなんですか?」
「ま、真希……お、何を……」
隣で隆が、言葉を失ったようにを半きにしていた。
「私が気づいてないとでもってたんですか?」
私は子から線をさず、氷のようにたい差しを向けた。
「たまにしか来ない義実ですし、両親との事も嫁の義務だとっていました。汚いとわれるのも嫌だから、ずっと黙ってべてあげてたんですよ。『子どもみたいに幼稚な嫌がらせだなあ』って、ので笑いながらね」
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「ひっ……!」
子の目から、ポロポロと涙がこぼれ落ち始めた。
「わ、私はそんなつもりじゃ……ただ、楽しんでもらおうと……!」
「嘘をつかないでください」
私はテーブルをの平で、バァン!とく叩いた。
陶器の器がね、甲い音が部に響き渡る。
「い息子ちゃんのでは『いいお母さん』の顔をして、息子の見ていない隙に嫁をいびる。そのっぺらい仮面が、本当に滑稽で、反吐がるほど気持ち悪かったんです!」
「なっ……母さんを侮辱するな!」
ようやくに返った隆がちがり、私を鳴りつけようとした。
だが、私はそれを徹な瞥でねじ伏せ、バッグから冊の母子帳を取りしてテーブルに叩きつけた。
「静かにしなさい、隆さん。……今ここに来たのはね、あなたたちに子どもの報告をするためだったのよ」
「……え?」
隆と義父が、同に息を呑んだ。
「定期に入ったから、んでもらえるかとって報告に来たんです。でも……このザマ。妊娠初期の定な体に、何が入っているかも分からない偽装料理を平気ですような姑に、誰が子どもを会わせたいといますか?」
子がハッと息を呑み、血の気の引いた顔で私の腹部を見つめた。
「私のことがそんなに嫌いなら、私の産んだ子も嫌いですよね? 嫁憎さのあまり、孫に毒を盛る祖母の事件だって世のにはありますものね」
私は席をち、バッグを肩にかけた。
「自分の子は、私が守ります。輪際、こちらの敷居を跨ぐことはありません。……永にさようなら」