"私にだけハズレ料理を出す義母の誤算" 第4話
ロシアンルーレットの卓
義実の玄関をけると、揚げ物のばしい匂いが廊に充満していた。
「いらっしゃい、真希さん、隆。さあ、がってがって!」
割烹着姿の子が、満面の笑みで迎えてくれた。その瞳の奥には、いつも以にギラギラとした嗜虐なが宿っているのを、私は見逃さなかった。
ダイニングに入ると、珍しいことにすでにテーブルのには数分の取り皿と箸、そしてメインの皿が央にデンと据えられていた。
皿のに並んでいたのは、こんがりと黄に揚がった、見事な俵型のメンチカツだった。ざっと見て個。粗挽きのパンがっており、見た目には実に見事なご馳に見えた。
「今はね、お肉さんで等な挽き肉を仕入れて、特製のメンチカツを作ったのよ」
子がを叩きながら、嫌で席に着いた。
「でもねえ、ちょっとタネを作っている途で、お肉がりなくなっちゃってねえ。個だけ、がかまぼこの『かまぼこフライ』が混ざっちゃったのよ!」
義父の康男が「なんだそりゃ、ハズレか?」と苦笑いし、隆が「へえ、面そうじゃん。ロシアンルーレットだな」と面半分にを乗りした。
「ふふふ、そうよ。誰がハズレを引くかしらね〜?」
子はわざとらしく首を傾げ、テーブルの央を指差した。
その瞬、子の線が、私と皿の角に置かれた、ほんのわずかによりも平べったいカツとを往復した。
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——誰がハズレを引くか、ですって?
私の胃の底から、たい笑いがこみげてきた。
これまでの半、度としてれることなく、私にだけ焦げ飯を、脂を、殻付きエビを配り続けてきた女が、今さら公平な運任せのゲームなどするはずがない。最初から、私に恥をかかせ、族ので「かまぼこを引いた抜けな嫁」として笑い者にするために仕組んだ茶番劇だった。
「お義母さん」
静まり返った卓に、私の澄んだ声が落ちた。
子がピクリと眉をねげる。
「何かしら、真希さん?」
「それ、違いなく百パーセント、私のですよね?」
卓の空気が、瞬で凍りついた。
隆がそうに顔を歪め、「おい真希、また始まったよ。母さんは誰に当たるか分からないって言ってるだろ!」と鳴り声をげる。
「じゃあ、賭けましょうか」
私は逃げを塞ぐように、まっすぐに子の目を見据えて微笑んだ。
「もし私が取ったカツがメンチカツだったら、今度お義父さんが買い替えるの代、私が全額します。……でも、もし隆さんがかまぼこフライを引いたら、私の実の極駐の名義、お義母さんに差しげてもいいですよ?」
冗談とはえない私の徹な声音に、子の顔からスーッと血の気が引いていくのが分かった。