"私にだけハズレ料理を出す義母の誤算" 第1話
黒く焦げた底の飯
に度、決まって巡ってくる「義実での夕会」のは、朝から胃の奥に鉛をみ込んだような苦しさが居座っていた。
結婚して。夫の隆(たかし)の実は、私たちが暮らす賃貸マンションからで分ほどの静かな宅にある。方公務員を退職した温な義父・康男(やすお)と、専業主婦として庭を完璧に仕切ってきたと自負する義母・子(あいこ)。そして、子にとって目に入れても痛くない息子である隆。
表向き、子は「よくできた姑」だった。親戚のでは常に穏やかな笑みを絶やさず、所付きいもソツがなく、初対面のは誰もが「優しそうなお母様ね」とを揃える。しかし、その微笑みの裏側で、私——真希(まき)に向けられる線には、常にややかな棘が潜んでいた。
「さあさあ、温かいうちにべましょうね。真希さんの分も、ちゃんとよそっておいたわよ」
子が台所から湯気をてる茶碗を盆に載せ、ダイニングテーブルへと運んできた。テーブルを囲む康男と隆のには、ふっくらと艶やかに炊きがった米が、盛りに盛られている。米の甘いりが部いっぱいに広がっていた。
「ありがとうございます、お義母さん」
私が受け取った茶碗に箸を伸ばした瞬、指先が張った。
表面こそくい米粒で覆われているものの、箸を差し入れた途端、ガリッという鈍い触がに伝わってきたのだ。
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底を返すと、まるで炭化しかけたかのように真っ黒に焦げ付いた塊が、ぎゅうぎゅうに押し込まれていた。歯で噛めばボロボロと苦いになって崩れる、鍋の底に残った最悪のおこげだった。
「……あの、隆さん」
帰りの、私は助席でさく声を絞りした。夜をくヘッドライトのが、フロントガラスをく撫でていく。
「さっきのご飯なんだけどね……私の茶碗だけ、底が真っ黒に焦げててカチカチだったの」
「は? またそれかよ」
ハンドルを握る隆は、あからさまに苛ったように舌打ちをした。
「たまたま窯の底が当たっただけだろ。母さんがわざわざおのためにそんな細するわけないだろ。おこげなんてばしくて美いじゃないか。何でもかんでも悪に取るなよ、被害妄だぞ」
「でも、隆さんのも、お義父さんのも真っだったじゃない」
「母さんが悪気なくよそったって言ってるんだから、それで終わりだろ! 俺の親を疑うようなこと言うなよ、気分悪いな」
隆のたい声が内に満ち、私はそれ以何も言えなくなった。
隆にとって、母親は絶対なだった。子どもの頃から何自由なく育ててくれた完璧な母。その母が、息子の嫁に対して湿な嫌がらせをするなど、彼の都の良い脳内フィルターには決して映らないのだ。
しかし、その「偶然」
は、に度の夕会のたびに、まるで精密に計算されたプログラムのように繰り返された。