"31年間、母が捨てなかったマットレスの秘密" 第4話
ベッドのの世界
田舎のの砂利にが滑り込んだ、敷の入には見慣れないいパネルトラックがしていた。
荷台の脇にっていたの作業員が、私たちのを認めるなり、い表で歩み寄ってきた。作業着の胸元には具量販のロゴが入っている。配のベテランらしき柄な男と、20代半ばの若い男。とも、まるで触れてはならない神聖な遺物を目撃してしまったかのように、元を固く結んでいた。
をりると、配の作業員が私にづき、声を潜めて言った。
「デイヴィッドさんですね。……お話の通り、には何も触れていません。ただ、古いマットレスを壁にてかけ、がした段階で作業員全員をへ退避させました」
「ありがとうございます。父と母をに残して、まず僕が見てきます」
私が玄関へ向かおうとすると、助席のドアがき、母がよろめきながらりてきた。
「私もくわ!」
「ダメだ、母さん。業者のが言ったんだ、まず僕が確認する」
「私のものよ! 私の……私のなのよ!」
泣き叫ぶ母の肩を、ろからりてきた父のアーサーが力く抱きとめた。父の腕は震えていたが、その差しには静かな決が宿っていた。
「エレノア、待ちおう。……デイヴィッドに、見てもらうんだ。もう、隠し通せるではない」
「アーサー……!」
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父は母をしっかりと抱き寄せ、私に向かってく頷いた。
「っておいで、デイヴィッド。おには……る権利がある」
私は、玄関のドアをけた。
のは、いつもと変わらない静けさに包まれていた。磨きげられたのの匂い、古い本と蜜蝋のワックスのり。しかし、廊を歩むごとに、私の臓は鐘のように激しく脈打った。
廊の突き当たり、両親の主寝のドアは半きになっていた。
私は呼吸をつ落とし、たくなった指先でドアノブを押しけた。
部の隅には、ビニールに包まれた真しい最型マットレスが、壁にてかけられていた。そして、央のきな製ベッドフレームの元には、31そこにあった、褪せた古いマットレスが退かされていた。
マットレスが取り払われ、剥きしになった製のスノコ板——。
そこに広がっていた景を目にした瞬、私は呼吸を忘れ、そのに縫い付けられたようにち尽くした。
「……何だ、これは……」
そこには、埃の溜まった空などしなかった。
スノコの板の、縦2メートル、横1.6メートルの広な平面のほぼ全面を覆い尽くすように、無数の「記憶の断片」が、驚くべき几帳面さで、隙なく敷き詰められていたのだ。
。何通、いや、何百通にも及ぶ、封筒に入ったの束。
鮮やかなクレヨンで描かれた、幼い子供の絵。
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画用の端は経劣化で茶く変し、細かくひび割れている。
さな、毛糸で編まれたい靴。親指ほどのきさしかない、赤ん坊の靴。
にるさながらがら、製のスプーン、褪せたリボン。
そして——何枚もの、写真。
私は震えるでベッドへづき、スノコのに膝をついた。
目の隙から、いをかけて蓄積された、ラベンダーのポプリの甘くしいりがちってきた。埃ひとつない。母は31、定期にこの巨なマットレスを持ちげ、この所にを通し、これらの品々を慈しむように入れし続けていたのだ。
の封筒に目を落とす。宛名はすべて同じだった。
『最のグレースへ』
跡は種類あった。つは、母エレノアの流麗で几帳面なインクの文字。
そしてもうつは——見覚えのない、しかし酷く震えるような、拙い鉛の文字だった。
私は枚の写真をに取った。黒からカラーへと移したばかりの、1970代特の浅い彩。
そこには、今よりずっと若い、30代半の母が写っていた。その隣には、黒髪をく刈り込んだ、若きの父アーサー。は辺の芝のに座り、満面の笑みを浮かべていた。
そして、の腕のに抱かれていたのは——。
麦わら子をかぶり、きなウサギのぬいぐるみを胸に抱いて、無邪気に笑うの女だった。
くりくりとしたきな瞳、し尖った顎、悪戯っぽく結ばれた元。
推定、3歳か4歳。
私は写真を見つめたまま、全の血が逆流するような衝撃に襲われていた。
誰だ、この子は。
私はっ子として育った。親戚筋にこんな頃の女の子はいなかったはずだ。
それなのに——なぜだろうか。
写真ので笑う女の目元と筋は、毎朝私が鏡ので見ている自分自の顔ちと、恐ろしいほど酷似していたのだ。