"妻のスマホに残っていた半年先の「2名様」" 第7話
脚だけの子
子が1脚しかない理由を、私は聞かなかった。
聞かなくても分かった。
向かいに空席があれば、私はそこに美を探してしまう。
事のずっと、「本当ならここに座っていた」と考える。
美はそれをっていたのだろう。
テーブルにはいクロスが掛けられ、さな瓶に黄いが輪だけ挿してあった。豪華な装飾はなく、窓のには宅の灯りが見える。
「こちらのお席でよろしいでしょうか」
「はい」
私は座った。
佐々はを置き、くをげた。
「奥様のこと、よりお悔やみ申しげます」
「ありがとうございます」
「ご予約いただいたには、このような形になるとは私どもも……」
はそこで言葉を止めた。
私は尋ねた。
「妻は、いつここへ来たんですか」
「ご予約の翌です」
やはり、図館へくと言ってかけただった。
「1で?」
「はい。お昼過ぎにいらっしゃいました」
美はへ来て、予約の相談をした。
その点では、まず2で来るつもりだと話していたという。
「奥様は、とても楽しそうでした」
が言った。
「には体調が戻っているとうので、夫とゆっくり事をしたいと」
私は俯いた。
「でも同に、もし自分が来られなかったについても相談されたんです」
「そこまで考えていたんですね」
「はい」
「妻は、自分がぬとっていたんでしょうか」
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はし考えた。
「私には分かりません。ただ、『丈夫だとってるんです。でも、病気になると予定には予備が必になるから』とおっしゃっていました」
美らしい言い方だった。
旅へくも、が止まったの別ルートまで調べるだった。
予約にも「予備」を作ったのだ。
やがて最初の料理が運ばれてきた。
さな菜だった。
私はナイフとフォークをにした。
欲があるのかないのか、自分でも分からなかった。
べる。
美しかった。
それがし悔しかった。
美がいないのに、美しいとじる。
半、私はそういう瞬にさな罪悪を覚えていた。
テレビを見て笑った。
よく眠れた朝。
会社のと酒をんで楽しかった夜。
妻がんだのに、自分だけ普通にきているようで申し訳なくなった。
私はもうべた。
そして皿を空にした。
佐々が戻ってきた。
には、さない封筒があった。
「奥様とのお約束ですので」
封筒には、美の字でかれていた。
《直さんへ》
見慣れた字だった。
私はすぐを伸ばした。
しかし触れた瞬、指が止まった。
この封筒をければ、半残されていた最の言葉をつ消費してしまう気がした。
写真は何度でも見られる。
録音も繰り返し聞ける。
でもは、度読めば「まだらない妻の言葉」
ではなくなる。
佐々は何も言わずれていった。
私はしばらく封筒を見つめた。
そして、ゆっくりいた。
に入っていた便箋は、たった1枚だった。
最初のを読む。
《来てくれたんだね。》
それだけで、私は続きが読めなくなった。
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