"妻のスマホに残っていた半年先の「2名様」" 第4話
奥様からのお預かり物
保留音は1分ほど続いた。
実際にはもっとくじた。
やがて音楽が止まり、先ほどとは違う落ち着いた女性の声が聞こえた。
「お話代わりました。の佐々と申します」
「森川です」
「森川直様ですね」
「はい」
は、そこで度息をえるようにを置いた。
「突然申しげて驚かれるといますが、当で奥様からお預かりしているものがございます」
私はを理解できなかった。
「妻から?」
「はい」
「いつですか」
「ご予約をいただいたです。奥様から度お話をいただき、その、直接ご来になりました」
私は子からちがった。
美がへっていた。
くなる12に予約を入れたのなら、その直接けるはほとんどない。最の入院、美がに自宅へ戻っていた数のどこかだろう。
私はその頃のことをい返した。
美は1でかけたことがあった。
「図館に返したい本があるから」と言って、昼にをただ。
私はで送ると言ったが、「しくらい歩かないと本当に病になる」と笑って断られた。2ほどで帰宅し、疲れたと言って午はずっとソファで寝ていた。
あのだったのだろうか。
「何を預かっているんですか」
「封筒です」
「僕宛てですか」
「はい。森川直様へ、と」
胸がく鳴った。
「どうして今まで……」
広告
言いかけて、私は止まった。
には私の連絡先がなかったのだろう。
そもそも、今週の曜まで渡す必のない物だったのかもしれない。
「奥様から、条件を伺っております」
が続けた。
「条件?」
「はい。ご予約のまで、こちらからご主様へ連絡しないこと。そして当について、お願いがあると」
私は予約メールの備考欄をいした。
《当について相談あり》
あれは、席や料理の相談ではなかった。
「どんなお願いですか」
はすぐには答えなかった。
「森川様。奥様がおくなりになったことを、私どもは今初めてりました。変失礼なことをお尋ねしますが、今週の曜、ご来いただくことは能でしょうか」
「僕が?」
「はい」
「妻はいないんですよ」
にした瞬、自分の声がしくなった。
は静かに答えた。
「承しております」
「だったら2の予約なんて成しないでしょう」
「奥様も、そのについてお話しされていました」
私は言葉を失った。
その。
つまり美は、自分が曜まできていない能性を考えていたということだ。
半なら元気になっていると言っていたが。
「妻は……何て言ったんですか」
が答えた。
「もし予約のに、ご主がおで来られたら、名様に変更してください、と」
私は受話器を握ったままけなかった。
「で?」
「はい」
「妻がそう言ったんですか」
「はい」
ので何かがつながりそうで、つながらない。
2名で予約した。
自分がいなければ1名へ変更する。
そして私宛ての封筒を預けた。
「じゃあ……」
私はようやくをいた。
「名で予約した、もう1は誰なんですか」
話の向こうで、が息を吸った。
私はらない名を聞く覚悟をした。
美の友か。
私のらない誰かか。
それとも、最まで私に話さなかったなのか。
しかしは、そのどれでもない名を答えた。
「もうおは、森川様です」
私は何も言えなかった。
「奥様と、森川直様。おでのご予約です」
2名。
美と、私。
半、誰の名なのかと考えていた空席には、最初から私が座ることになっていた。
---