"60万円の命の値段" 第6話
あなたのの、最の台で」
のたいが、青の並を濡らしていた。
普段なら瀟洒なブティックやカフェがち並ぶ通りは、夜けから完全に警察両と警備会社のバリケードによって封鎖されていた。信号ごとに配置された隊員と、元に無線イヤホンを装着した漆黒のスーツ姿のSPたち。赤灯の無言の滅が、濡れたアスファルトに々しいの尾を引いている。
「青斎」の正には、般両の侵入を切遮断する検問所が設置されていた。通を許されるのは、フロントガラスに「馬」のの透かしが入った特別通証を掲げた両のみ。午を過ぎると、分い防弾ガラスを備えた黒塗りのセンチュリー、マイバッハ、ロールスロイスが、途切れることなく列をなして滑り込んできた。
からりつのは、誰もが朝のニュースや経済の第面で見る顔ばかりだった。現職の閣僚、総裁、メガバンクの取、本を代表する業・通信・エネルギーの会たち。さらには数カ国の特命全権使までが、沈痛な面持ちで傘を従者に預け、厳な属探ゲートをくぐっていく。
馬グループ先代総帥・馬総郎の告別式。それは企業の社葬という枠組みを遥かに超えた、事実の国葬に匹敵する儀式だった。
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斎のメインホールには、息を呑むような景が広がっていた。幅メートル、さメートルに及ぶ巨な祭壇は、何万本もの純のカサブランカと胡蝶蘭で波のように覆い尽くされ、その甘く濃なりが広な空を包んでいる。央に掲げられた巨な遺ので、総郎は静かに、しかしすべてを見通すような威厳に満ちた差しで参列者を見ろしていた。
祭壇の脇に設けられた喪主席。そこに、美央は座っていた。
に纏うのは、皇御用達の老舗テーラーが徹夜で仕てげた、最級のシルクモアレによる漆黒の喪。胸元には、馬族の直系継者のみに受け継がれる「翔ける馬」を象った黒真珠のブローチが、鈍くたいを放っている。
彼女の背筋は定規を当てたように真っ直ぐに伸び、その表にはかつてアパートで夫の声に怯えていた面は微もなかった。
「統帥様、式次第の準備がすべていました」
歩がった位置に控える黒田が、元でく囁いた。
「参列者は政財界わせて百名。周の報陣は百社を超えておりますが、警備部が完全にシャットアウトしております。……例の男は、しに表れる見込みです」
「そう。予定通り、番目つように通してあげて」
美央の声は、真の氷柱のように澄み切っていた。
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最列の央、もっとも格式のい特別VIP席には、帝都産業の塚社が座っていた。普段は社員ので威張り散らしている太りの男が、今は額にびっしりと脂汗を浮かべ、膝ので握りしめた拳を刻みに震わせている。
塚の隣には、の直系グループ企業の会たちが然と並んでいた。彼らは塚の異様な緊張に怪訝な線を向けていたが、塚自はきたがしていなかった。数、統帥から直接された徹な特命。もし今、自社の社員がこの神聖なを汚し、それに対して完璧な処刑をせなければ、帝都産業という会社そのものがにはから消しられるのだ。
午分。導師を務める僧たちが入し、な読経の声が堂内に響き渡った。
線の煙が静かにちり、百を超える本のトップエリートたちが斉にを垂れる。咳払いつ許されない、絶対の静寂。
その静寂を、からの微かな騒音が裂き始めたのは、午を分ほど過ぎた頃だった。
「おい! せよ! 俺は遺族の夫だぞ! 喪主の旦を止めるとはどういう見だ!」
斎のなエントランスロビーに、違いな声が響き渡った。
物のポリエステル製ブラックフォーマルにを包んだ達也が、肩でを切りながら理のを踏み荒らしていた。
には物の皮セカンドバッグを抱え、寝癖の残る髪を撫で付けながら、ちはだかるのSPを指差している。