"娘夫婦に貸した愛車を「名義変更して」と言われた日" 第11話
片桐の遺を見た、私は議なことを考えた。
はんだ、持っていた物を全部置いていく。
それは確かだ。
だが、だからといってきているうちから誰かにけ渡す必はない。
自分で使い、自分で決め、必なら自分ので譲ればいい。
その順番だけは守りたいとった。
返済が始まって半が過ぎた。
私への入は毎5万円ずつ、計30万円になった。1000万円から見ればまだ970万円残っているが、私は急かさなかった。
なのは額より、約束通り続いていることだった。
子への返済もんでいた。
佳代から借りた176万円については、私と美咲で受け取る割を決め、別の記録を作った。
拓也は計簿を美咲と共するようになった。
与、カード利用、返済、貯蓄。
以なら窮屈だとじたかもしれないが、本が決めたことだった。
ある、拓也から話が来た。
「お義父さん、のことで相談があります」
その言葉を聞いた瞬、私はし構えた。
「何だ」
「会社の先輩が古を探していて、お義父さんが買ったを教えてほしいんです。うちのがったより状態が良かったので」
私はわず笑った。
「それだけか」
「それだけです」
以なら笑えなかっただろう。
私はのいる販売を紹介した。
数、からも話が来た。
「娘婿様からご紹介いただきました」
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「今度は私のを持ってってないでしょうね」
冗談で言うと、は瞬黙った、笑いした。
私も笑った。
ようやく、あの来事をしれたところから見られるようになっていた。
の初め、美咲が1でへ来た。
にはさな封筒を持っていた。
「これ、返してなかった」
に入っていたのは、私のの鍵だった。
佳代が病気だった頃、何かあったにすぐ入れるよう娘へ渡したものだ。私は返してほしいと言ったことはなかった。
「持っててもいいぞ」
「ううん。回返す」
美咲はそう言った。
「必なら、またお父さんから渡して」
私は鍵を見つめた。
の鍵と同じだった。
渡した側が「貸した」とっていても、く持っていれば境目は曖昧になる。
美咲はそれを自分から理したかったのだろう。
「分かった」
私は鍵を受け取った。
「でも、何かあったは困るな」
「そのはちゃんと頼む」
「そうしろ」
美咲は笑った。
帰る、娘は玄関で言った。
「お父さん。私、あの本当にひどかったよね」
「のことか」
「うん。週末にしか乗らないならいらないでしょうって。今考えると、すごく失礼だった」
私はし考えた。
「俺も悪かったところはある」
「お父さんが?」
「何でも先回りして助けすぎた」
美咲が首を傾げた。
「おが困ったと言えば、俺は解決する方ばかり考えていた。がりなければ貸す。
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がなければ貸す。それで親の役目を果たしてるつもりだった」
「助かったよ」
「助けるのはいい。でも、おたちが自分で何とかする部分まで取っていたのかもしれない」
美咲はし黙ってから頷いた。
「これからは、困ったら相談する。でも、まず自分たちで考える」
それで分だった。
になる頃、拓也の会社で希望退職の募集が始まった。
業績が悪化したわけではなく、部署再編に伴うものだった。定の退職が乗せされるため、拓也は、応募して転職することを考えた。
以の彼なら、乗せ退職を借返済に気に回そうとしたかもしれない。
今回は違った。
「応募するに相談したい」と美咲へ話し、2で私のところにも来た。
私は見を求められたが、すぐ答えなかった。
「転職したい理由は何だ」
「返済をく終わらせたいから、もっと料のいい会社へければとって」
「今の会社が嫌なのか」
「嫌ではないです」
「次の仕事は決まってるのか」
「まだです」
私は首を振った。
「借を返すために、定した収入まで賭ける必はない。返済はをかければいい」
拓也はそうな顔をした。
「ってないんですか」
「ることと、無茶をさせることは別だ」
1000万円を貸したの私なら、「族だから何とかしてやる」と考えただろう。
を取り返した直なら、「自分で作った借なんだから苦労してでも返せ」
とったかもしれない。
今は、そのどちらでもなかった。
責任を取るとは、自分を壊すことではない。