"娘夫婦に貸した愛車を「名義変更して」と言われた日" 第7話
むしろ声が妙に落ち着いていて、その静けさの方が私は配になった。
「全部聞いた」
「そうか」
「500万円も、毎の5万円も。お義母さんの300万円も」
私は余計なことを言わず、娘の言葉を待った。
「お父さん、ごめん。のこと」
な言葉だった。
「拓也がやったこととは別に、私もおかしかった。お父さんがあまり乗ってないから、私たちが使った方がいいって、本気でってた。取りにしたらしいがくなるって聞いて、得じゃないってった」
「俺にとって得かどうかは考えなかったのか」
「考えてなかった」
美咲はそう認めた。
その言だけで、私ののりが全部消えたわけではない。しかし、なくとも娘は自分のしたことを拓也のせいだけにはしなかった。
私はを取り返したの朝をいした。美咲は「陽斗の送り迎えをどうするの」と言った。あの、彼女ののではすでに、父親のを使えることが庭の提になっていたのだ。
「これからどうする」
「分からない。でも、まずおを全部確認する。拓也に任せたままにしない」
私はそれだけは賛成した。
数、美咲夫婦は計の資料を持って私のへ来た。預、宅ローン、クレジットカード、保険、拓也の母への借、私への借。テーブルへ並べてみると、彼らがっていた以に計は余裕を失っていた。
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宅ローンの残は約2400万円。預は110万円ほどしかない。子への300万円はほぼつかずの借として残り、私への1000万円も当然残っている。
拓也はライフリンクの持分を処分しようとしていたが、会社自体がほとんど活しておらず、買いは見つからなかった。500万円は事実失ったと考えるしかなかった。
「それでも600万円のを買おうとしてたの?」
美咲が聞いた。
拓也は答えなかった。
「どうして?」
「今のがないと困るとったから」
「お父さんのでしょう」
美咲の声が初めてくなった。
私は2を止めた。
「俺ので夫婦喧嘩をするために集まったんじゃない。まず数字をそう」
にきしていくと、毎の返済に回せる額は、無理をしても7万円程度だった。私への1000万円だけでもいがかかる。そこへ子の300万円が加わる。
私はそので1000万円全額を返せとは言わなかった。
代わりに条件を3つした。
私への借を700万円に減らしたという虚偽の記録を破棄し、残1000万円を2で確認すること。毎の返済額を無理のない5万円から始め、必ず共同座から私の座へ直接振り込むこと。そして今、私の財産を自分たちの資計画へ勝に組み込まないこと。
拓也は黙って聞いていた。
すると美咲が言った。
「お父さん。もうつ、私から決めたいことがある」
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彼女は自宅の鍵を1本、テーブルへ置いた。
「しばらく、拓也とはおを別にする」
夫婦の問題は、私がを取り返しただけでは終わらなかった。
7、美咲からマンション購入の相談を受けた、私は最初から1000万円をすつもりだったわけではない。当の私はまだ会社勤めをしており、妻の佳代もきていた。美咲夫婦は結婚3目で、陽斗がまれるしだった。
物件価格は約4200万円。2の収入なら宅ローン自体は組めたが、と諸費用を入れると貯がほとんどなくなる。それを配した佳代が「し助けてあげたら」と言ったのが始まりだった。
私は500万円程度を考えていた。
ところが話しいの席で、拓也は「1000万円あればローンの条件がかなり良くなる」と説した。返済総額も減り、子どもの教育費を準備しやすくなる。数字を見れば確かに理だった。
ただし私は、贈与にはしなかった。
「親子でも、1000万円は1000万円だ。返さなくていいだとったら、使い方が変わる」
そう言ったのは私だった。
佳代も賛成し、簡単ではあるが契約を作った。返済始は子どもの学入学。利息は取らない。計が苦しいには事に相談すれば返済を止めても構わない。
今考えれば、かなり甘い条件だった。
それでも当の拓也は、契約へ署名しながら言った。
「必ず返します。お義父さんたちの老のおですから」
その言葉を、私はい信じていた。
佳代が病気になったのは、その翌だった。