"娘夫婦に貸した愛車を「名義変更して」と言われた日" 第6話
拓也の勤め先とは無関係で、私も美咲も会社名を聞いたことがなかった。
美咲はそのの夜、再び私のへ来た。今度は通帳だけでなく、拓也の机から見つけた類をまとめて持ってきた。私は勝に夫の物を持ちすことには賛成できなかったので、必なページを確認したは元へ戻すよう伝えた。
共同資契約によれば、拓也はライフリンクへ500万円を資することになっていた。300万円は母の子から、残り200万円は拓也自が用した形になっている。しかし、その期の美咲夫婦には宅ローンがあり、陽斗もまだ幼かった。
「200万円、どうしたのか当たりは?」
美咲はい黙っていた。
「3、うちの普通預から200万円くらい減ったことがある。拓也に聞いたら、宅ローンの繰りげ返済をしたって」
「確認しなかったのか」
「細を見せてもらった。でも……今考えたら、の正式な類だったか分からない」
私は娘を責める気にはなれなかった。夫婦で役割分担をしていれば、方が計管理を任せることは珍しくない。問題は、任された側がその信用をどう扱ったかだった。
翌、美咲は宅ローンのへ問いわせた。3に200万円の繰りげ返済をした記録はなかった。つまり500万円の資は、子の300万円と夫婦の貯200万円で作られた能性がかった。
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では、なぜ契約のコピーに「父へ300万円返済済」といたのか。
その答えは、週末に拓也自からた。
「母から300万円を借りたことを、美咲にられたくなかったんです」
私のへ1で来た拓也は、回とは違い、最初からうつむいていた。ライフリンクは学代の友が始めた会社で、3、事業を拡するため資者を募っていた。うまくいけば数で倍くになると言われ、拓也は参加した。
「500万円なんて美咲が賛成するはずがないとって、母に相談しました。母は300万円ならすと言ってくれた。残りは貯からしました」
「それと俺への返済に、何の関係がある」
「お義父さんへの借が1000万円残っている状態で、母からさらに300万円借りたとられたら、美咲がるとったんです。それで……母からの300万円は、お義父さんへの返済に使ったことにしておけば説がつくとって」
私は言葉を失った。
実際には私へ1円も返していない。それなのに帳面のだけ300万円返したことにし、義母から借りたを投資へ回した。嘘をつ隠すために、別の借を消したことにしたのである。
「投資した500万円はどうなった」
「会社がうまくいかなくなって……ほとんど戻ってません」
「美咲はらないんだな」
拓也は頷いた。
さらに、からの毎5万円も、私への返済には使っていなかった。
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ライフリンクの事業理で追加負担を求められ、その支払いに回していたという。半で30万円。拓也はボーナスがれば穴埋めできるとい、美咲には返済していると説し続けた。
「じゃあ、を売ろうとしたのもそのためか」
私が聞くと、拓也は慌てて首を振った。
「違います。は本当に族用のミニバンに替えたかっただけです」
「420万円の取りを、自分の財産でもないのに計算へ入れてか」
「いずれお義父さんから譲ってもらえるとっていました」
その言葉に、私は鳴りたい気持ちを押さえた。
「なぜ、そうった」
「だって……」
拓也はそこでごもった。
「お義父さんはも持っているし、もある。美咲は娘です。最終には全部、美咲のものになるじゃないですか」
私はその初めて理解した。
拓也にとって、私のも1000万円も、完全な「の財産」ではなかったのだ。
いつか妻である美咲が受け取るもの。
だから今しく使っても、きな違いはない。
その考えが、すべての根にあった。
拓也の話を聞いた夜、私はすぐ美咲へ話しなかった。父親としては娘を呼び、全部話してしまいたかった。しかし500万円の資と30万円の流用は、私と拓也だけの問題ではなく夫婦の問題でもある。
翌朝、私は拓也へ連絡した。
「今に自分で美咲へ話しなさい。話さないなら、俺から伝える」
拓也は「分かりました」と答えた。
夕方6過ぎ、美咲から話が来た。泣いてはいなかった。