"娘夫婦に貸した愛車を「名義変更して」と言われた日" 第5話
私の控えには、《貸付額 10,000,000円》とある。
ところが美咲がから持ってきたコピーの余には、見覚えのない文字がき加えられていた。
《うち3,000,000円 瀬より返済済》
付は3。
私はそんな300万円を、度も受け取っていなかった。
「これは誰がいた」
私が尋ねても、美咲は首を振るだけだった。契約そのものは7に私ので作り、私、美咲、拓也の3が署名している。しかし「300万円返済済」という追記はコピーにだけあり、跡は拓也のものに見えた。
美咲はの類棚を調べていて、このを見つけたという。拓也にはまだ見せていなかった。の名義変更に必な類を探していたらしいファイルのに、宅購入の資料と緒に入っていたそうだ。
「3に300万円なんて、うちにあったとえない」
「俺も受け取っていない」
「じゃあ、どういうなの」
私はすぐに答えなかった。自分の通帳を7まで遡れば確認できるが、なくとも300万円を現で受け取った記憶などない。族の貸付だから細かい返済が始まれば記録を残すつもりだったし、まとまった額なら忘れるはずがなかった。
翌、で過の取引細を確認した。やはり300万円の入はない。のための座も調べたが結果は同じだった。
その夜、私は美咲と拓也を自宅へ呼んだ。
拓也は玄関へ入るなり、「のことはすみませんでした」
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とをげた。だが謝罪は名義変更の話だけで、査定やの申込については自分から触れなかった。私は2を居へ座らせ、契約のコピーをテーブルへ置いた。
「この300万円は何だ」
拓也の目が止まった。
ほんの瞬だったが、私は見逃さなかった。
「昔のメモじゃないですか」
「君の字に見える」
「たぶん僕がいたんでしょうけど、何もなので」
「俺は受け取っていない」
拓也はをんだ。美咲が横から、「返したなら証拠があるでしょう」と言うと、彼は初めて苛った表を見せた。
「だから、族のなんだから、いちいち振込だけとは限らないだろ。現で渡したかもしれないし」
「300万円を現で渡して、2とも覚えてないってこと?」
「昔のことだろ」
私はを挟まず、しばらく拓也を見ていた。設備の故障原因を調べていた頃も、最初から答えを決めつけると肝な異常を見落とした。今必なのは、拓也を言い負かすことではなく、数字をわせることだった。
「じゃあ、300万円を用した記録を見せてくれ」
「何ですか、それ」
「から引きしたなら履歴がある。誰かから借りたなら、その記録がある。俺へ渡したというなら、なくとも300万円がどこからたかは分かるはずだ」
拓也は黙った。
美咲がい声で言った。
「見せて」
その言で、拓也の態度が変わった。
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「美咲まで何なんだよ。のことでお義父さんがってるからって、昔のまで全部疑うのか?」
「私がりたいのは、毎5万円をどこへやったかと、この300万円が何なのかだけ」
「族を信用できないのか」
美咲は答えなかった。
私はその言葉を聞いて、妙な皮肉をじた。半、私も「族だから」とを貸した。7には「族だから」と1000万円を利どころか無利息で貸した。信用という言葉を使って確認を止めた結果が、今目のにある。
結局、拓也は資料をさないまま帰った。
翌朝、美咲からいメッセージが届いた。
《お父さん、拓也が会社にった、通帳を見つけた。写真送る》
添付された画像を拡した私は、しばらく画面から目をせなかった。
3、拓也の座には確かに300万円の入があった。
振込は私ではない。
《タカセ カズコ》
拓也の母親だった。
そして同じの午、その300万円は別の座へ全額移されている。
振込先の名義は、《ライフリンク同会社》。
さらに美咲から、もう1枚写真が送られてきた。
その会社から拓也宛てに届いた古い類だった。
表には、こうかれていた。
《共同資契約 資額5,000,000円》
を取り戻せば終わるとっていた問題は、その瞬、まったく別の形に変わった。
ライフリンク同会社について調べると、3に設されたさな会社だった。
向けの予約システムや広告運用を請け負っていたらしいが、現のホームページは更が止まり、登記の所も雑居ビルのになっていた。