"「父の31億を狙った泥棒女」と罵られた私。孤独な老人に贈った2180円のラーメンが、巨大金庫の上に供えられていた" 第11話
が先に見放した
臨取締役会の、健は主取引を訪れた。
御厨産が創業から付きってきた方で、健も支とは何度も会している。取締役会で揉めても、が自分を支持すればの役員は従う。そう考えていた。
「急なお願いで悪いね」
応接へ通された健は、以と同じ調子で革張りのソファへ腰をろした。
「父がくなって、社内がし混乱している。だが、私が代表であることに変わりはない。余計な噂が入っても、真に受けないでもらいたい」
向かいに座った支は、された名刺を机へ置いたままにした。
「その件については、御社の常勤監査役と部調査担当者から連絡を受けています」
「監査役が何を言ったからないが、親族の遺産争いだ。会社とは関係ない」
「架空の能性がある社へ、で4億8000万円を超える送が確認されたと聞いています」
健は笑ってみせた。
「規事業のコンサル費用だ。成果は期にる。のなら、先投資くらい理解できるだろう」
「契約先社から、当の別座を経由して個名義の座へ資がいています。照会には適切に対応します」
支の言葉は丁寧だったが、会で見せた親しさはなかった。
「い付きいじゃないか。父の代から、どれだけ取引を続けてきたとっている」
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「だからこそ、事実関係を曖昧にはできません。の取締役会の結果がるまで、規融資と代表者単独でのな取引は留保します」
「俺を信用しないというのか」
「個の信用の話ではありません。当は、御厨産という法の健全性を確認しています」
父親の会社だからも自分に従う。健が当然だとっていた提は、そこで初めて崩れた。
本社へ戻ると、さらに異変があった。
玄関で社員へ声をかけても、以のようにち止まってをげる者がいない。線を避ける者もいれば、正面から見返す者もいた。
社のには報システム担当と監査役補佐が待っていた。
「監査続きのため、会社貸与端末をにお預かりします」
「拒否する。の会議で全部説する」
「データ保全は本います。業務に必な連絡は、監査役が用した端末をお使いください」
健は周囲を見回した。秘、総務課、若いシステム担当。誰も命令に背こうとして興奮しているわけではない。決められた順を実しているだけだった。
そこへ田所が耐類ケースを持って現れた。
「昨夜削除するよう命じられたデータは、すべて保全しました。契約原本と承認記録も、の取締役会へ提します」
「俺に逆らえば、財務部の席を失うぞ」
「その言葉も記録します」
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田所は胸ポケットの録音を示した。
「源蔵会が会社へ戻ろうとされた、私は何もできませんでした。もう同じことはしません」
「親父は判断力を失っていた。俺が会社を守ったんだ」
「それを決めるのは、あなたではありません」
田所が社の扉をける。内には、部調査会社の担当者がいた。机の引きし、印章管理簿、の予定表まで、番号を振って記録している。
健は自分の子へ向かったが、担当者に制止された。
「確認が終わるまで、机には触れないでください」
「ここは俺の部だぞ」
「会社の社です」
い返答だった。
そのの夕方、健は自分の会社にいながら、来客用の会議で過ごした。話をかけた取引先社のうち社は「社内調査の結果を待つ」と答え、残る社は話になかった。
午6、臨取締役会の資料が届いた。
表には、の送61件、計4億8120万円と記されている。そのに、健自が押した承認印の写しが並んでいた。