"「父の31億を狙った泥棒女」と罵られた私。孤独な老人に贈った2180円のラーメンが、巨大金庫の上に供えられていた" 第10話
運びされたさな庫
港区のタワーマンションへ戻ると、美穂はコートを脱ぐより先に寝へ向かった。
ウォークインクローゼットの奥から、型スーツケースをつ引きす。宝箱、腕計、ブランドバッグ、貨の封筒をベッドへ並べ、値段のい物から詰め始めた。
「何をしている」
「私の物を全な所へ移すのよ。あなたの会社がどうなっても、これは私の財産だから」
「その計もバッグも、会社のカードで買った物が混じっている。今持ちせば、余計に疑われるぞ」
「プレゼントしたは会社のおだなんて言わなかったじゃない!」
美穂は640万円の腕計をに取り、健へ突きつけた。
「あなたは『今の役員報酬はがった』と言った。イタリアのソファも、旅代も、全部問題ないって説したでしょう」
「夫婦なら同じ活をして当然だ。今さら自分だけらなかった顔をするな」
「犯罪だとっていたら使っていないわよ」
「嘘をつけ。偽のコンサル契約に署名したのは誰だ」
の線がぶつかった。
応接では同じ敵を睨んでいた夫婦が、自宅へ戻った途端、互いの責任を数え始めた。守りたいのは相ではなく、自分名義の資産と、これまでの活だった。
健は斎へ入り、会社のノートパソコンをいた。社内サーバーへ接続しようとするが、認証画面には「このアカウントは止されています」
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と表示される。
「田所の仕業か」
私用の話から報システム担当へ連絡したが、担当者は監査役の指示がなければ復旧できないと答えた。健は「俺は社だ」と鳴ったものの、返ってきたのは「指示系統の確認です」という言葉だけだった。
美穂はその隙に、寝の壁面収納から型庫をした。購入伝票には御厨産の名義が入っているが、は自分の実へ運べば分からないとった。
翌朝8、宅配業者が台を持って訪れた。
「こちらの庫と、スーツケース点ですね」
「ええ。取扱注でお願いします」
美穂は健が眠っているに、搬を終えるつもりだった。
エレベーターが1階へ着き、業者が型庫をエントランスへ運ぶ。そこで、スーツ姿の男性がづいてきた。は黒田法律事務所の補助者、もうは裁判所の執官だった。
「御厨美穂さんですね」
「何ですか。急いでいるので、あとにしてください」
執官は分証と決定を提示した。昨夜、相続財産であるマンションの占や内部の産が移される具体な危険がじたため、黒田側は証拠を添えて保全処分を申してていた。
「居から切の私物を持ちせないというではありません。対象となる産と占状況を確認します。個購入が確認できる物は、通常の続きで搬できます」
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「全部、私が買った物です」
「では購入記録をご提示ください」
美穂は型庫を指した。
「それは結婚に買った私の物よ」
補助者が保全資料の覧を確認した。
「同型番の庫が、御厨産の備品台帳に登録されています。購入は2、設置先はこのマンション。費用は法カードで決済されています」
「に入っている物は私の物よ。勝にけたら訴えるから」
「今ここでけるとは申しげていません。封印のうえ、裁判所の指示に従って確認します」
美穂が庫へをかけると、宅配業者は事を察して台かられた。
騒ぎを聞きつけ、健がシャツ姿のままエレベーターからびしてきた。
「何を勝に運びしている!」
「私の物を守っているだけよ!」
「会社名義の庫を持って逃げれば、横領の証拠を自分で増やすことになるぞ」
「を見られたら困るのは、あなたも同じでしょう!」
美穂の言葉で、健のきが止まった。
エントランスにいた管理と宅配業者が、を見ている。これまで民へ「会社所の役員邸宅」だと自していた健は、それ以鳴れなくなった。
執官は型庫の識別番号を記録し、封印票を貼った。スーツケースは点ずつ確認され、購入者がらかな類などは美穂へ返されたが、法カードの利用履歴と致する宝飾品は別に保全された。
「私のバッグを返して!」
「購入代の所が確認されれば、返還の扱いを判断します」
美穂の叫び声を背に、作業は淡々とんだ。
健はエントランスのガラス越しに、へ目を向けた。そこには黒田も、さくらもいない。が復讐のために押しかけてきたのではない。
類と台帳を受け取ったたちが、それぞれの職務としていているだけだった。
健のスマートフォンが鳴った。
表示されたのは、御厨産の常勤監査役だった。
『朝9、臨取締役会を催します。議題は、代表取締役の解職です』