"兄夫婦を亡くした日、5歳の双子を家族にした" 第9話
織さんは何でも残すだった。
《向、初めて寝返り》《蒼依、歯がえた》《浩司、オムツを逆につける》
写真の裏に、そんなメモがある。
笑いながら泣いた。
クローゼットの奥から、医学部の卒業式の写真もてきた。
兄が泣いている。
織さんが笑っている。
私だけが得そうな顔をしている。
その写真を見て、私はいした。
青いファイルからてきた封筒。
《美緒へ》
半、私はけられずにいた。
自宅へ戻り、机の引きしから封筒をした。
今なら読める気がした。
には2枚の便箋が入っていた。
最初は兄の字だった。
《美緒へ。医者になったの、おめでとう。》
かれた付は、私が学を卒業しただった。
《よく頑張ったな。おは俺たちに育ててもらったとってるかもしれないけど、俺は妹と暮らしただけだ。族なんだから当たりだ。》
文字が滲んだ。
《個だけ言っとく。俺たちはおに借を作ったつもりはない。勝に返そうとするな。》
私は元を押さえた。
兄はっていた。
私がいつか「返さなければ」と考えるだと。
2枚目は織さんだった。
《美緒ちゃんへ。浩司は格好つけてくしかかないとうので、私が補します。》
わず笑った。
《私たちが美緒ちゃんにしてあげたことを、私たちに返す必はありません。に言ったでしょう。困っているがいたら、そのにをしてあげてって。
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》
そこまでは覚えていた。
しかし、その続きがあった。
《でもね、自分が困ったときは、誰かが差ししてくれたをちゃんと握ってください。そこまでがセットです。》
涙が便箋に落ちた。
《美緒ちゃんは、を助けるのは得だけど、助けてもらうのがだから。》
私は声をげて泣いた。
《それから、自分のを幸せにきてください。それが私たちにとって番嬉しい恩返しです。》
半、私は兄夫婦への恩返しだとってってきた。
子供たちを守るためなら、仕事も結婚も自分の活も全部差ししていいとっていた。
けれど2は、そんなことを望んでいなかった。
私が自分のを捨てることは、恩返しではなかった。
むしろ、2が私にしてくれたことのを、私は逆にしていた。
その夜、蓮が来た。
私は何も言わず、を渡した。
蓮は最まで読み、しばらく黙った。
「浩司さん、分かってたんだな」
「うん」
「美緒が面倒くさい性格だって」
「そこ?」
泣きながら笑った。
蓮はポケットからさな箱をした。
あの指輪だった。
「今度は俺から聞く」
私は涙を拭いた。
「うん」
「戻していい?」
今度は迷わなかった。
「お願いします」
指輪が半ぶりにへ戻った。
それは元に戻ったのではなかった。
度壊しかけた関係を、私たちが自分たちので選び直した印だった。
兄夫婦がくなってから1、私と蓮は結婚した。
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豪華な式ではなかった。
親族と親しい友だけを招いた、さな式だった。
控でドレスを着ていると、蒼依が入ってきた。
「美緒ちゃん、お姫様みたい」
「ありがとう」
蒼依はしばらく私を見てから、そうに聞いた。
「結婚したら、美緒ちゃんじゃなくなる?」
「ならないよ」
「ずっと美緒ちゃん?」
「ずっと」
「じゃあいい」
その答えに、私は笑った。
向は別で蓮に質問攻めをしていたらしい。
あとから文さんに聞いた。
「本当に美緒ちゃんと結婚するの?」
「するよ」
「うち、すごくうるさいよ」
「ってる」
「蒼依すぐ泣くよ」
「ってる」
「僕もるよ」
「それもってる」
「美緒ちゃん、ご飯焦がすよ」
「番ってる」
向は最に聞いた。
「じゃあ、なんで結婚するの?」
蓮はし考えたという。
「今回は誰にも代わりに決められてないからかな」
式が終わっても、活が急に美しくなるわけではなかった。
帰宅した瞬、蒼依は「お腹すいた」と言い、向は礼のままへ寝転んだ。
翌朝、文さんが台所を見て言った。
「炊飯器、さすぎない?」
それまで使っていたのは3炊きだった。
2と、これからきくなる子供2。
確かにりない。
私たちは4で量販へった。
向は黒い炊飯器がいいと言い、蒼依は赤がいいと言った。
売りで言い争いになった。
蓮が2のにしゃがんだ。
「赤いほうがご飯うまく見えそうじゃない?」
「ほんと?」
「たぶん」
「たぶんなの?」
結局、赤い5.5炊きになった。