"兄夫婦を亡くした日、5歳の双子を家族にした" 第1話
午217分、枕元のスマートフォンが鳴った。
画面に表示されているのは、登録していない局番だった。普段なら営業話を疑って切っていただろうが、その夜はなぜか胸の奥がざわつき、私は隣で眠っている2を起こさないよう、そっと寝をてから通話ボタンを押した。
「野美緒さんのお話で違いありませんか」
い男の声が、私の名を確認した。
「はい」
「県警交通課の者です。お兄様の野浩司さんと、奥様の織さんのことでご連絡しました」
その瞬、私は壁にをついた。
兄夫婦は友の結婚式に席するため、で隣県へかけていた。1泊して翌の昼には帰る予定で、5歳の双子、向と蒼依だけが私のマンションに泊まっている。
数まで、2は私のベッドので絵本を取りっていた。
「パパ、何に帰るの?」
「お昼くらいって言ってたよ」
「お産あるかな」
そんな話をしながら眠ったばかりだった。
話の向こうの警察官は、兄たちのが対向線を越えてきた型トラックと衝突したこと、救急搬送されたことを説した。そして度だけ言葉を切った。
医師になって7。
私は、その沈黙が何をするのかっていた。
「お2とも、搬送先でが確認されました」
聞き違いであってほしかった。
けれど医師としてについた嫌な静さが、相の言葉をつずつ理解してしまう。
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搬送先の病院名、事故の発刻、元確認が必であること。私はメモを取ろうとして、ペンを握る指が震えて文字にならないことに気づいた。
「……分かりました。今からきます」
話を切ると、部は恐ろしいほど静かだった。
寝の扉をしける。
向は布団を蹴ばし、蒼依は母親からもらったウサギのぬいぐるみを抱えて眠っていた。私は2の布団を掛け直し、病院へ話して事を説したあと、くにむ同僚の佐藤先に来てもらった。
午4、私は搬送先の病院に着いた。
案内された部には、い布を掛けられた2台のストレッチャーが並んでいた。職員から確認を求められ、私は震えるで最初の布をろした。
兄だった。
額に傷があり、顔はすでにきているのものではなかった。
隣には織さんがいた。
私は泣けなかった。
医師として見れば、2とも助かる能性がほとんどなかったことが分かってしまったからだ。なくともく苦しんだわけではない。その考えに救われようとする自分が、たまらなく嫌だった。
病院をるころには、の空がくんでいた。
タクシーでマンションへ戻ると、玄関に2のさなスニーカーが並んでいた。向の靴には乾いたがつき、蒼依の靴にはピンクのさなが描かれている。
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その靴を見た瞬、ようやく膝から力が抜けた。
16。
両親を失った私も、こうして突然、帰ってこないを待つ子供になった。
あのとき私のにってくれたのが、24歳だった兄と、結婚したばかりの23歳の織さんだった。
今度は、私の番だった。
朝7をし過ぎたころ、寝から音がした。
「美緒ちゃん」
眠そうな向が廊にっていた。そのろから、ぬいぐるみを抱いた蒼依もてくる。
「パパたち、まだ?」
私は答えられなかった。
すると蒼依が、私の顔を見てさく言った。
「事故?」
臓を握られたようだった。
「どうして……」
「夜、美緒ちゃん話で言ってた」
あの子は眠っていなかったのだ。
私は2のに膝をついた。
医師として、族に悪いらせを伝えたことは何度もある。それでも、目のにいる5歳の子供へ両親のを伝える方法など、どの教科にもいていなかった。
「向、蒼依。よく聞いてね」
2の目が私に向く。
「パパとママは、昨、の事故に遭ったの」
向の唇がわずかにいた。
「それでね……病院のたちが頑張ってくれたんだけど、助からなかった」
蒼依が私を見つめた。
「んじゃったの?」
私は逃げずに頷いた。
「うん」
次の瞬、蒼依が声をげて泣いた。
私はそのさな体を抱きしめた。
けれど向は泣かなかった。
「じゃあ、今帰ってこない?」
「帰ってこない」
「も?」
「うん」
「ずっと?」
喉が裂けそうだった。
「……ずっと」
向は俯き、さな拳を握った。