"赤提灯から始まる逆転" 第3話
いつもなら満員に揺られ、発のサーバーラックのにっているだ。静まり返った部ので、蔵庫のいモーター音だけが虚しく響いていた。
突然、玄関のインターホンがけたたましく鳴り響いた。 扉をけると、郵便配達員がい表でクリップボードを差ししてきた。
「内容証郵便です。受領のサインをお願いします」
差ししの欄を見て、私の背筋にたいものがった。会社名ではなく、『豪田 猛』——元司の個名がはっきりと印字されていた。 震えるで封を切り、つ折りにされた分い面を広げた。そこに並んでいたのは、血も涙もない法な抹殺宣告だった。
『貴殿が当社の密データを部へ正に持ちそうとした為により、当社にはな損害の危が発した。当社は損害賠償請求訴訟(請求予定額:千百万円)の提起準備に入っている』
さらに面の半には、悪魔のような取引条件が記載されていた。
『ただし、貴殿が今回の懲戒解雇処分に対し切の異議申してをわず、システムの発に関する切の著作権および権利を無条件で放棄する旨のに署名捺印するに限り、本賠償請求を見送るものとする』
乾いた笑いが漏れた。 最初からこれが狙いだったのだ。私が貧しい平社員であり、企業を相に期の裁判を戦う財力も脈もないことを見透かしたで、法な脅迫によって私のを完全に塞ぎ、システムの権利を完全に奪しようとしている。
広告
「ふざけるな……!」
握りしめた面が、私のりで激しく皺になった。 泣き寝入りしてサインすれば、私は科者のような汚名を着せられたまま業界を追放され、豪田は私の血と汗の結晶を掲げて役員へとり詰める。そんな結末を認めるわけにはいかない。
私は机のに置かれた私物のノートパソコンをいた。 会社支の端末ではない。学代から使い込んできた、私の相棒とも呼べる発だ。 キーボードを叩き、のダミーサーバーを経由して、かつて発環境の裏側に密かに用しておいた非常用ポートへ接続を試みた。
画面が暗転し、黒い背景のに緑のプロンプトが滝のように流れ落ちる。 豪田は私が完全に社内ネットワークから排除されたとい込んでいるが、私が仕掛けたステルスロックは、通常のファイアウォールを完全に迂回する独自の暗号化通信を持っていた。
画面の央に、最のアクセスログが展された。 そこには、昨夜から今朝にかけて、豪田が使用している社内端末のIPアドレスから、コアプログラムへ数百回にわたって引な侵入を試みたエラー記録がびっしりと刻まれていた。
「……やはり、を何も理解していないな」
豪田はソースコードの構造すら読めないため、販の総当たり解析ツールを使って力任せにロックをこじけようとしていたのだ。
広告
ロックは解除されるどころか、正侵入の試回数をカウントし、その都度、操作者の端末識別番号とタイムスタンプを裏サーバーへ転送していた。
豪田は、自らが犯罪者であることを証するかぬ証拠を、毎分毎秒、私の元に送り届けていたのだ。 私はその膨なログを厳に暗号化し、複数の部クラウドストレージへ分散してバックアップした。 しかし、このログだけで法に豪田を断罪できるのか。私は現実な対抗策を模索するため、午の無料法律相談窓へと向かうことにした。
役所の片隅にあるさな相談。机を挟んで私の話を聞いていた髪交じりの弁護士は、私が提示した内容証郵便とアクセスログのプリントアウトを眺め、くいため息をついた。
「……鈴鹿さん、はお察しします。しかし、極めて厳しいと言わざるを得ません」
「なぜですか? ここに豪田部が私のデータを正に操作しようとした確な記録があります!」
「問題は、このログが『あなたが解雇された』のものである点です」弁護士は鏡を押しげた。「会社側は『解雇された元社員が、自作自演で部からアクセスを試みて偽装ログを作った』と主張するでしょう。