"父が開けた祝儀袋" 第3話
「終わってないよ」
恭子は母を見た。
「浩司さんのお母さんは、私の料から返せって言ってる。浩司さんまでし負担した方がいいって言い始めた。何もらないまま払えるわけないでしょう」
正吉は骨に嫌になった。
「親が娘のために使ったを、円円まで調べるのか」
「調べるよ。借なら」
父娘はしばらく睨みった。
最に文が、「見せた方がいいよ」と言った。
正吉は舌打ちし、の奥にある帳から封筒と領収の束を持ってきた。
恭子はそのの午いっぱい、数字をつずつきした。
会の基本料。
料理。
酒。
装。
写真。
引き物。
招待状。
嫁入り箪笥。
鏡台。
布団。
炊飯器。
テレビ。
方の親戚の宿泊代。
送迎の。
見れば見るほど、自分のらない支がてきた。
「この料理、最初に選んだのより百円いよ」
「向こうのお父さんが、せっかくなら鯛を付けようと言ったんだ」
「この宿泊って誰?」
「さんの方の親戚だ」
「着目の装は?」
文が答えた。
「私が頼んだの。無垢だけじゃ寂しいとって」
「テレビは?」
正吉が言った。
「俺だ」
「私はらないって言ったよ」
「嫁入り先にテレビもないなんて格好がつかんだろ」
「居に置く所だってほとんどないよ」
正吉の顔が赤くなった。
「おは何でも、と。親が娘を派に嫁がせたい気持ちが分からんのか」
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「派に見せるために借したんでしょう?」
父は黙った。
文が俯きながら言った。
「私はね、嫁に来た、箪笥が棹しかなかったの」
恭子は母を見る。
「お義母さんに何も言われた。『文さんの実は娘に箪笥も持たせられないのか』って。親戚が来るたびに言われたのよ。だから恭子には同じいをさせたくなかった」
恭子はしばらく母の顔を見つめた。
母がそんなことで傷ついていたとはらなかった。
けれど、だからこそ聞いた。
「お母さんが嫌だったことを、どうして私の結婚でもう度やるの?」
文の目が揺れた。
「同じじゃないわ」
「同じだよ。今度は私が、持っていった物の数で値踏みされる側になるんでしょう?」
母は何も言えなくなった。
そのの夜、恭子は領収を借りて帰った。
居の卓で、冊の学ノートをく。
から、
《が希望したもの》
《恭子の両親が追加したもの》
《浩司の両親が希望したもの》
とつの欄を作った。
ではなく、誰が何を決めたのかをつずつ分けるためだった。
ところが計算を終えた、恭子のが止まった。
披宴と嫁入り具にかかった総額。
すでに支払われていた付。
両親の貯からした。
祝儀で返した。
全部しても、父がにした「借額」とわない。
父は披宴の、
「万円く借りた」
と言っていた。
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だが、領収から逆算すると、婚礼のためにしていたは万円ほどしかない。
約万円。
どこにも使いのない借が残った。
恭子はノートの余に、きくいた。
《万円は、どこへ消えた?》
翌朝、恭子は浩司にも計算を見せた。
浩司は最初、「親が祝いのために使ったものを、ここまで細かく分けなくても」と苦笑したが、領収を順番に見ていくうちに表を変えた。特に自分の両親側の追加分が予以にいと分かると、何度も数字を数え直した。
「このの宿泊、うちの親戚だ」
「そうみたい」
「でも俺、伯父さん夫婦と叔母さんだけだとってた」
「お義父さんが追加したって、お父さんは言ってた」
料理の格げも、男方から「方の親戚に粗末なものはせない」と望があったことが会側の控えに残っていた。さらに引き物も、当初が選んだ品から段いものへ変更されている。
浩司はく黙った。
「俺、らなかった」
「私もらなかったよ」
が自分で希望した支は、全体の半分にも届いていなかった。
恭子の両親が「娘のため」と追加したもの。
浩司の両親が「男方の体面」と増やしたもの。
その両方がなり、最初にが考えていた予算はきく膨らんでいた。
その晩、浩司は実へった。
帰ってきたのはを過ぎていた。
「母さん、認めたよ」
「何を?」
「料理と親戚の宿泊。父さんが頼んだって」
「それで?」
「払うとは言ってない」
恭子はわず苦笑した。