"父が開けた祝儀袋" 第2話
という部分だけがきくなっていった。には「祝儀がりなくて会から帰れなかったらしい」とまで言う者がいたが、恭子にはつずつ訂正して回る気力もなかった。
結婚目、志津から呼びされた。
の畳には、浩司と父の蔵も座っていた。志津は茶をしたものの、自分ではもまず、恭子が座るのを待ってから切りした。
「恭子さん。最初にはっきりさせておきたいんだけど」
「はい」
「あなたの実の借を、浩司に払わせるつもりはないでしょうね」
恭子は顔をげた。
「ありません。父が借りたものなら父の借です」
「でも、あなたの結婚のために借りたんでしょう?」
言葉が詰まった。
確かに披宴は自分の結婚のためにわれた。しかし、着目の装も、テレビも、増えた招待客も、恭子が望んだものではない。
志津は、その沈黙を別のに受け取った。
「浩司はこれから庭を持つのよ。結婚々、嫁の実の借まで背負わされたら困るの」
「母さん」
浩司が止めた。
「まだ額も分からないだろ」
「だから先に言ってるの。あとから『族なんだから助けてください』なんて言われても困るでしょう」
恭子は膝のでを握った。
「私からお願いすることはありません」
「あなたからは、ね」
志津はわざと拍置いた。
「でも、あなたのお父様が浩司に頼んできたら?」
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それには答えられなかった。
父が祝儀を勝にけた姿を見たあとでは、「絶対にそんなことはしない」と言い切れなかった。
帰り、浩司が謝った。
「母さん、言い方がきついんだ」
「言ってること自体は分かるよ」
「恭子」
「私だってりたい。いくら借りたのか、何に使ったのか」
浩司はしばらく歩いてから、「俺も緒に聞く」と言った。
その言葉に、恭子はしだけ救われた。
ところが、その夜。
借りた畳の居で計の話をしていると、浩司のから別の言葉がた。
「もし本当に披宴の費用だけならさ」
「うん」
「しくらい俺たちも払った方がいいんじゃないか」
恭子は箸を置いた。
「どうして?」
「俺たちの結婚式だったんだから」
「私たちが頼んだ分なら分かる。でも、テレビも着目の装も、私はらないって言ったよ」
「でも親は俺たちのためにやったんだろ」
「『ためにやった』って言えば、いくら使っても私たちが払うの?」
浩司は黙った。
恭子は喧嘩をしたいわけではなかった。けれどここを曖昧にしたら、結婚したそのから「族のため」という言葉だけで、自分たちの料のき先が決められてしまう気がした。
翌、志津が居へ来た。
嫁入り具の配置を見るためという名目だったが、帰り際、台所で恭子へ言った。
「あなた、結婚しても会社は辞めないんでしょう?」
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「はい」
「それならよかったじゃない。毎のお料からしずつ実へ返せば、お父様も助かるでしょう」
恭子は振り返った。
「私の料からですか」
「あなたのために作った借なんだから」
「私の料を、誰が何に使うかまで勝に決めないでください」
志津の表が固まった。
「嫁が姑にそんなを利くの?」
「嫁になるから、私が働いてもらっている料です」
部の空気が変わった。
志津は何も言わず帰った。
その晩、浩司は母から話を受けた。
話し終えたあと、困った顔で恭子を見る。
「母さん、かなりってる」
「私もってるよ」
「分かってる。でも、もうし言い方が」
恭子は夫を見た。
結婚の浩司なら、「君の料は君が働いただ」と言ったはずだった。
結婚した途端、親のではしずつ言葉が変わる。
父の借だけではない。
恭子は、自分の結婚のにもうつ確かめなければならないものがあるとじ始めていた。
曜、恭子はで実へった。
父の正吉は自宅の階でさな荒物を営んでいる。鍋、箒、洗剤、炭、蝋燭などを扱い、所の得客へ掛売りもしていた。以はの入りが絶えなかったが、最は駅にきな商ができ、客がし減っていることを恭子もっていた。
「全部見せて」
を閉めたあと、恭子は父へ言った。
「何をだ」
「披宴にいくら使ったのか。
何を買って、何のためにいくら借りたのか。全部」
母の文が台所から顔をした。
「もう終わったことなんだから、今さらそんな」