"寝室のベッドの下に隠されていたもの" 第2話
眠れなかった理由
弁護士が到着すると、警察官から発見物の説を受け、私へホテルへ移るよう勧めた。正が帰宅するまでもない。装置と類を見つけたことをられれば、証拠を消したり、私を連れ戻そうとしたりする能性がある。
「でも、ここは私のです」
「だからこそ、今夜だけはれてください。権利を守るために危険から距を取ることは、逃げることではありません」
私は旅用の鞄へ仕事着と薬を詰めた。通帳、実印、相続関係の類は貸庫にあるが、印鑑登録証とパスポートは自宅の耐庫に入っている。確認すると、登録証はあったものの、予備の印が見当たらなかった。
最の私は、物を置いた所に自信が持てなくなっていた。鍵を閉めたかになって駅から戻り、財布がないと騒いだで蔵庫のから見つかったこともある。そのたび正は責めず、「疲れているんだよ」と肩を抱いた。
今になって考えれば、財布を見つけたのはいつも正だった。鍵がいていたと教えたのも正で、私は自分の目で確かめていない。優しさに包まれたつつの来事が、別の形を取り始めていた。
警察は送器の容器について、成分鑑定をうと言った。私は半から眠と痛に悩み、朝になるとのに苦いが残っていたことを話した。
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医師の血液検査では異常がなく、ストレスだろうと言われている。
「寝をれた昨夜、症状はありましたか」
「まだれていません。今初めて見つけたので」
「では今夜以、体調の変化も記録してください」
若い警察官は決めつけず、事実だけをノートへいた。その態度がありがたかった。夫は半、私の言葉を聞くふりをしながら、最には必ず「疲れ」「齢」「考えすぎ」という結論へ誘導していたからだ。
午過ぎ、正が帰宅した。警察官とが残るリビングへ入ってきた彼は、テーブルの証拠袋を見た瞬にを止めた。
「何があった?」
「ベッドのにカメラがあったの」
「俺じゃない」
返事があまりにく、部の全員が黙った。私はまだ彼を疑うとも、誰が設置したとも言っていない。
「私、あなたがやったと言った?」
正は唇を結び、すぐに表を作り直した。
「そういう目で見ているからだ。俺だって驚いている。のか、修理業者じゃないのか」
「このベッドは、結婚目に私たちが品で買った物よ」
「だったら配送業者だ。俺が置く理由なんてない」
配の警察官が、黒い布袋について尋ねた。正はを見せられるに「あの袋はらない」と答え、直に自分の失言へ気づいたらしい。証拠袋は透で、からも形も分からなかった。
は何も追及せず、今の連絡は自分を通すよう伝えた。
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私は旅鞄を持ち、正の横を通り過ぎた。腕をつかまれそうになったが、警察官がへ入る。
「怜奈、誤解だ。で話せば分かる」
「きりでは、もう話さない」
駅のホテルへ着くと、私はドアをに施錠した。それでも落ち着かず、備え付けのベッドのをスマートフォンのライトで確認した。何もないと分かっているのに、目で見なければ横になれない。
その夜、正から件の着信と通を超えるメッセージが届いた。最初は〈配している〉〈帰ってきてほしい〉だった文面が、次第に〈警察に余計な話をするな〉〈叔母さんの財産のことまで話したのか〉へ変わっていった。
最の通にはこうかれていた。
〈君は今、正常な判断ができていない。、病院の先と母さんを連れて迎えにく〉
私は半からの帳をき、体調と正のを付順にきした。最初に痛をじたのは、寝の空調を正が「省エネ型へ替えた」と話した翌週。鍵を閉め忘れたと言われたのは、彼が宅勤務を始めたから。薬の数がわなくなったのは、正が毎晩、を枕元へ運ぶようになってからだった。
当はすべて、気遣いとして受け取っていた。夜に起きれば「また眠れないのか」と背をさすり、朝には「昨夜のことを覚えている?」と優しく聞く。
私が曖昧に答えると、彼はしそうな顔をし、帳へ何かをき込んでいた。
「君の体調を記録しているだけだよ。病院で役につから」
その帳を見せてほしいと言ったことがある。正は「専なメモだから、余計にになる」と笑って閉じた。私はそれ以求めなかった。妻の体調を配する夫を疑う方が、たいにえたからだ。
ホテルの机で付をつなぐと、彼の優しさは症状のではなく、いつも症状のに現れていた。を用した翌朝に記憶が曖昧になり、財布を預かると言ったに財布が消え、仕事を休めと言った週に会社へ匿名の話が入る。偶然だと考えるには、順序がいすぎていた。
私は覧を写真に撮り、へ送った。返事には、今は眠、べた物、薬、連絡してきた物を事実だけで記録し、推測は別欄に分けるようかれていた。
〈あなたの覚を守るためにも、記憶だけで戦わず記録を方にしましょう〉
正は、私が自分の記憶を疑うよう仕向けた。ならば私は、彼がき換えられない形で今からの事実を残す。さなノートの最初のページに、私は付とホテルの部番号をいた。
〈午分。痛なし。財布、鍵、薬を自分で確認。ベッドのには何もない〉
病院の先とは誰なのか。私は眠で通っている青葉総病院に、正を連れてったことはない。
午零過ぎ、ホテルのフロントから話があった。
「島様、ご主とお母様がお見えです。医師の方もご緒で、奥様を保護する必があるとおっしゃっています」