"50歳の再婚、披露宴で知った夫の嘘" 第2話
逃避のタクシーとえた居
「……ま、正? これ、どういうことなの?」
静寂を破ったのは、義母・幸恵の震える切り声だった。
藤の着物の胸元を押さえ、血相を変えて息子を凝している。
「あなた、私には『玲子さんもんで仕事を辞めて介護を引き受けてくれる』って言ったじゃない! あの子の帳にも、そういて……!」
正は完全にを抱え、まで真っ赤にして沈黙していた。
会の隅に座る私の職の同僚たちは息を呑み、正の親族席からは「おい、どうなってるんだ」「男の面子はどうなる」と穏なざわめきがちる。
私はマイクのスイッチを静かに切り、司会台のトレイへと置いた。
「私のの主導権は、私にしかありません。このでのこれ以の言及は控えさせていただきます」
披宴の残りは、通夜のような苦しさので過ぎった。
送賓の列にち、引き物の袋を渡す、義母の幸恵は私にも息子にも言もを利かず、鬼のような形相で会をにした。
親族たちも居悪そうにそそくさと散会し、フロアには、私と、青ざめた正だけが取り残された。
ホテルの寄せ。初の夜が、汗ばんだ首筋をたく撫でていく。
予約されていたハイヤーのドアがいた瞬、正がすがりつくように私の腕を掴んできた。
「れ、玲子……悪かった! 頼むかららないでくれよ! 母さんには、で僕からうまく説するつもりだったんだ! 今あんな勢のでぶち壊すことなかったじゃないか……!」
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その調には、反省のなど微もなく、「自分の顔にを塗られた」という被害者識と焦燥だけが滲みていた。
私はそのを、氷のような徹さで払い落とした。
「運転さん」
私は正を無し、運転席のドライバーへ告げた。
「き先を変更してください。区の、メゾン・ド・ラヴィールまで」
「えっ……!?」
正が目を剥いた。
「な、何を言ってるんだ玲子! 居は目黒のマンションだろう!? 具も全部運び入れたし、今夜からでしい活を始めるはずじゃないか!」
「ええ、そのはずでした」
私はタクシーの部座席に乗り込み、ドアノブにをかけた。
「でも、あなたのついた嘘の全容がらかになるまで、私はあなたとつ根ので暮らすつもりはありません」
「嘘だなんて聞きが悪い! 僕はただ、みんなが丸く収まるようにを取り持とうとしただけで――」
「そのしのぎでのを勝に差しすことを、世では『裏切り』と呼ぶのよ」
バタン、といドアが閉まった。
タクシーが滑るように夜の都へりす。
バックミラーので、タキシード姿のままち尽くし、を抱えて団駄を踏む正の姿が、灯ののにさく消えていった。