"妊娠八か月の私に姑は四十人分のおせちを作らせた" 第1話
分のおせち
「座るなら、黒豆を煮終えてからにして。妊娠は病気じゃないでしょう」
の午、姑の幸子は台所の子を片づけた。妊娠かの私は、膨らんだ腹を調理台へ当てないよう横向きにち、分のおせちを作っていた。夫の健太の実は《割烹さかき》という料理を営んでいる。末だけ常連客へおせちを売るのだが、板が辞めた穴を、幸子は私に埋めさせた。
主治医からはのち仕事を避けるよう言われていた。週、腹の張りがくなり、張り止めを処方されている。診断を見せても、幸子は「今どきの妊婦はげさ」とで笑い、母子帳まで自分の寝の庫へ入れた。
「仕事に何度も病院へかれたら迷惑なの。必なら私がしてあげる」
健太には何度も訴えた。しかし彼は、末だけしてくれ、母さんもを守るため必なんだ、と言うだけだった。の階にまわせてもらい、事も世話になっているのだから、しくらい恩を返すべきだとも言われた。
けれど、私たちはまわせてもらっているのではない。この建物は、私の父が所する法名義の物件だった。、健太の父が病気で倒れ、がち退き寸になった、父の会社が建物を買い取り、万円という相の分の以で貸していた。
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改装費、業務用蔵庫、健太ののまで、私の実が援助している。
父は、娘の嫁ぎ先へをしたくないと言い、支援を表にさなかった。幸子もを救ったのは息子の信用だとい込み、私は訂正しなかった。
午を過ぎた頃、界の端がくなった。包丁を置こうとした瞬、腹の奥がく締まり、へ膝をついた。
「げさに倒れないで。料理のよ」
幸子は私を起こすより、落ちた栗きんとんの容器を拾った。私は震えるでスマートフォンを探したが、幸子は作業の邪魔になると言って、朝から預かっていた。
その、の裏がいた。
予定よりく帰国した私の母と、建物の更契約を確認しに来た父がっていた。
母はにうずくまる私を見た。父は私ではなく、子のない台所と、庫の鍵を握った幸子を見た。
「娘の母子帳を、なぜあなたが持っているんですか」