"娘の就職祝いで夫は私を泥棒と呼んだ" 第4話
盗まれた帳
帳には私がいた送、額、仕入先名が並んでいた。だがページの余に、見覚えのない言葉が加えられている。
《隆司にられるに処理》《社へ分散》《原本破棄》
跡はよく似ていた。分の伝票やメモが会社にあるのだから、真似る材料はいくらでもあった。それでも、きの文字だけを見れば、私自でさえ瞬迷うほどだった。
は原本の跡鑑定を申し入れた。同に、会社の懲戒続きに対して弁の会を求した。取締役でも株主でもない私を、族会議だけで犯罪者にすることはできない。
隆司は親戚と主取引先へ《元経理責任者による正について》という説文を送った。私の実名はかれていないが、妻であることは誰にでも分かる。友から「丈夫?」という話が来て、所では私が会社のを持って逃げたことになっていた。
私はSNSで反論しなかった。送られてきた文とを保し、誰に何が伝えられたかを記録した。く言い返したい気持ちより、隆司に証拠を捨てる理由を与えたくなかった。
から連絡が来た。送の半は、会社階の固定端末からわれていた。ただし認証には私の個トークンが使われている。トークンは退院、自宅の類棚からなくなっていた。
最の送は午分。
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私が術だっただ。
これでなくとも、その件を私が操作していないことは証できる。だが、会社の端末を使ったのが隆司か原か、別の物かは分からない。
その夜、義母が突然訪ねてきた。鳴り込むとったが、彼女は化粧もせず、茶封筒を抱えていた。
「私のマンションに、税務署からが来た」
F・リンクには過で百万円が振り込まれ、そのほぼ全額が別座へ移されていた。義母は報酬として毎万円を受け取っただけだという。
「隆司は、会社を守るためだと言った。あなたが帳簿を触っているから丈夫だって」
義母は自分が利用されたと分かっても、なお息子をかばった。
「警察には言わないで。あなたが盗んだことにして退職を返せば、全部収まるでしょう」
私は茶封筒を押し戻した。
「私を沈めれば済む段階ではありません。千も責任者にされています」
義母の顔が変わった。
初めて、彼女は息子ではなく孫の名に反応した。