"息子が私を認知症にした日" 第9話
庫をけない選択
織は「今すぐ取りにこう」と言った。
私は断った。たとえ私名義でも、会社の庫を勝にければ、こちらが利になる。真理には封筒へ触れず、と庫の位置だけを弁護士へ伝えるよう返した。
翌、直の代理から面談の申し入れがあった。会社再建のため、駅のを私から会社へ千万円で売却し、代のうち千万円を改修費と相殺する案だった。
査定価格は千百万円。千万円という数字は見私に利だが、支払いは分割、会社の業績連。名義だけ先に渡す内容だった。
「これは売買ではなく、を担保に会社へ融資するのと同じです」
弁護士の説に、直は苛った。
「母さんがねば、どうせ俺と織が相続する」
私は静かに聞いた。
「それまで私がきるやおは、どこにあるの?」
「施設ならでりる」
その言で、迷いは消えた。
私は売却を拒否し、かの退を改めて求めた。ただし、美咲が卒業する末まで必ならか延し、そのの使用料を額で設定する案をした。
直は「親が孫を質にするのか」と席を蹴った。
面談の、会社の仕入先社が支払い猶予を打ち切った。私が告げしたのではない。百万円の業者が、売却確認に疑義があるとって社へ確認した結果だった。
直は親戚へ「母に会社を潰された」と訴えた。
だが今度は叔父がグループへ、私から受け取った支援覧を投稿した。
《なくとも、恵美子さんが何もしてこなかったという話は違う》
全員が方になったわけではない。それでも、直だけの物語ではなくなった。