"息子が私を認知症にした日" 第7話
千百万円の事
本が指定したのは、役所くの喫茶だった。
彼女は歳。直の会社で働き、与の遅配を理由に退職していた。
「邸という案件はつあります」
本の資料では、同じ駅所に対し、根改修百万円、耐震補百万円、回り百万円が計されている。だが仕入先と職の面表を照すると、実際にわれたのは湯器交換と洗面台の修理、計百万円程度だった。
残りの伝票は別の現の資材を振り替えたものらしい。
「どうして止めなかったんですか」織が聞いた。
「度、社に確認しました。『母親のだからで帳尻をわせる』と言われた。私は辞めるまで黙った。だから私にも責任はあります」
彼女は英雄ではなかった。私たちも救世主として扱わなかった。原本は会社にあるため、税理士と弁護士を通じて正式に確認することになった。
帰宅すると、親戚の叔父夫婦が待っていた。
「直君の会社を潰す気か。内で話をつけろ」
「内で話すため、帳簿を求めています」
「の融通は企業ならある」
織がちがった。
「って百万円? 美咲の署名を別の類へ使うのも?」
叔父は返事をせず、私へ「娘に吹き込まれた」と言った。
私はにお茶をし、帰り際に枚のを渡した。私が直へ提供した賃相当額、税、保険、教育費の覧。
計は百万円を超えていた。
「私はもう分、内として助けました」
叔父はを畳んで持ち帰った。
その晩、直から初めて穏やかな話が来た。
「母さん、だけで話そう。織や司法士を入れるから事になる」
「帳簿を持ってくるなら会うわ」
「族なのに、条件をつけるのか」
「族だから、条件を曖昧にしてきたのよ」
話は切れた。
翌朝、私の郵便受けに施設の契約解除通が入っていた。予約万円は返されず、契約者は私になっている。
私は入居確認にしか押していない。それなのに契約には、同じ印が何度も複製されていた。