"息子が私を認知症にした日" 第2話
翌朝の訪問者
直が駅のへ移ったのはだった。
直のリフォーム会社が資繰りに苦しみ、賃貸マンションの更料を払えないと言ったからだ。半だけ、という約束だった。
私は追いしたいわけではなかった。ただ、私を施設へ送ったあとも無期限にみ続けるつもりなら、話は別だった。
司法士の川は、まずと続きを分けた。
「の使用貸借でも、すぐ鍵を替えることはできません。退期限を定めて通し、相の事も確認します」
「それで結構です。急いで乱暴なことをしたくはありません」
私はかを期限とする使用貸借終の通を依頼した。同に、を売るのではなく査定だけ取ることにした。自分の資産価値を、自分でっておきたかった。
昼すぎ、駅のへ産会社の担当者と向かった。
玄関をけた真理は、私を見るなり顔を変えた。
「どうして来たんですか」
「私のだからよ。今は査定をお願いしたの」
「聞いていません」
「所者の私が、あなたに許をもらう必がある?」
奥から直がびしてきた。仕事へったはずなのに、スウェット姿だった。
「母さん、昨の今で何をしてるんだ。やっぱり判断がおかしい」
私は診断のコピーを渡した。
直は目を読むと、を折り曲げた。
広告
「検査なんて、そのの調子で変わる」
「そうね。だから別の医療関でも来週受けるわ」
産会社の担当者は気まずそうに靴を脱いだ。直は廊を塞いだが、の所者確認と私の同を見て、最には通した。
階の畳は、直の会社の類で埋まっていた。棚には顧客名入りのファイル、には未封の督促状。
「事務所として使っているの?」
「だ」
契約では居用だった。だが私が目を留めたのは、机のの見積だった。
《邸全面改修事 〇〇万円》
は私の姓で、事所はこのになっていた。
根も壁ものままなのに、完印だけが押されている。
直は慌ててを裏返した。
「会社の式を試しただけだ」
私は追及しなかった。
帰り際、真理が声で言った。
「美咲の受験を台無しにする気ですか」
私は振り返った。
「台無しにしようとしているを、違えていない?」
その夜、親戚のグループに直からメッセージが届いた。
《母が突然、私たちをから追いそうとしています。病状がんだようです》
添付されていたのは、昨私が押印した入居確認だった。