"息子が私を認知症にした日" 第1話
本のろうそく
歳の誕に、私は自分が認症だとらされた。
教えたのは医師ではない。息子の直だった。
夫の回忌も兼ねて集まった親戚ので、直はちがり、用していた封筒を座卓へ置いた。
「母さんを、来から施設へ入れようとう」
箸の音が止まった。
私は台所から鯛の煮付けを運んできたところだった。直の妻、真理は私から皿を受け取ろうともせず、伏し目がちに座っていた。
「最、母さんは物忘れがひどい。も危ないし、おの管理もできていない」
叔母が配そうに私を見た。
「恵美子さん、本当なの?」
「さあ。昨もでへったけれど」
笑って答えると、直は困った子どもを見るように眉を寄せた。
「本には自覚がないんだよ。だから病気なんだ」
真理が茶いファイルをいた。施設のパンフレット、介護相談票、財産管理に関する委任状。最のには付箋が貼られ、私が押す所だけ赤い丸で囲まれている。
「お義母さんのためです。私たちも、できるだけ支えてきました。でも美咲の受験もありますし……」
支えてきた。
その言葉に、私は危うく笑いそうになった。
直がんでいるのは、夫が残した駅の戸建てだ。賃は度も受け取っていない。固定資産税も災保険も、湯器の交換費用も私が払った。
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「ここに判を押してくれ。もう予約も払った」
直が差しした万を、私は受け取った。
親戚たちは堵したように息をついた。揉め事を見ずに済むとったのだろう。
私は委任状ではなく、最初に置かれた『入居確認』だけを読み、持参した認印を押した。
「これでいい?」
直の目が瞬だけ、私のバッグへ向いた。実印が入っているとっていたらしい。
「残りはでいい。今は疲れただろう」
事が終わると、親戚は私に「息子さんがいて幸せね」と言って帰った。
最のが見えなくなったあと、真理が台所の引きしをけた。
「何を探しているの?」
「お義母さんのお薬です」
そこに薬がないことくらい、真理はっていた。
私は何も言わず、階の寝へ入った。机の奥から枚の診断をす。
《認能に齢相応以のを認めない》
検査を受けたのは週だった。
その隣には、しく登録した実印と、駅のの登記識別報があった。
私はようやく理解した。
息子が今欲しかったのは、私のではない。私が自分のを持つ権利だった。
翌朝、私は司法士へ話した。
「息子に無償で貸しているについて、話をめたいんです」