"兄の結婚式に、実の妹の席だけありませんでした" 第12話
父の術からが過ぎた、の爽やかな曜。
私は内の落ち着いたレストランの個にいた。兄とゆかさんの、結婚周を記するささやかな事会だった。
昨の結婚式があまりにも誠実な嘘のに成りっていたことを恥じたゆかさんが、「本当に切なたちだけで、やり直しの乾杯をしたい」と私を招待してくれたのだ。席者は、兄夫婦、ゆかさんのご両親、子叔母さん夫妻、そして私のだけだった。
母・志保の姿はそこにはなかった。あの件以来、ゆかさんの実に対しても嘘が見した母は、親族ので完全に信用を失い、自らにることを避けるようになっていた。
「理さん、今はお越しくださって本当にありがとうございます」
ゆかさんの父親が、穏やかな笑顔で私にワインを注いでくれた。
「娘から、理さんがおでおを切り盛りされていると伺いました。古いものを切にし、のいを繕う素らしいお仕事ですね」
「ありがとうございます。まだまださなですが、毎楽しく針をかしています」
私は胸を張って答えた。
宴の途、ゆかさんの母親がふと尋ねてきた。
「理さんは、昔から飾の勉を専にされていたのですか?」
瞬、隣の席に座っていた幸介の体が張るのが見えた。
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兄は青ざめた顔で私を見つめ、何かを言おうとをけかけた。
私は兄をで制し、ゆかさんの母親の目を真っ直ぐに見つめ返した。
「いいえ。私はをのに退したんです。父が事故に遭って計が苦しくなり、働く必がありましたので」
隠すことも、卑屈になることもなく、平然とした声で微笑んだ。
「その、縫製で何も修をして、技術を叩き込んでもらいました。学はられませんでしたが、現で学んだあのが、今の私の誇りです」
ゆかさんのご両親は、軽蔑するどころか、い銘を受けたように目を細めた。
「そうでしたか……。ご族のためにをにして働かれ、自らの腕本でを切りかれたのですね。本当に派な方だ」
その言葉を聞いた瞬、隣で幸介が静かに涙をこぼした。
母が、必に隠そうとしていた「退」という私の過。それは、隠すべき恥などではなく、私が誠実に、懸命にきてきた何よりの証だったのだ。偏見の目で見ていたのは世ではなく、母自の浅ましい見栄だけだった。
事会が終わり、レストランの玄関で解散となった、幸介が私に歩み寄ってきた。
兄の顔には、かつての頼りなさや狡猾さは消え、責任を背負ったの男の静けさが宿っていた。兄はポケットからいさな封筒を取りし、私に差しした。
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「理、これを受け取ってくれ」
には、古い父の計簿のコピーが入っていた。私が学費を補填した記録の横に、兄の几帳面な字でこうき添えられていた。
『涯、この恩と罪を忘れない。幸介』
「……ずっと私に借りをじてきていくつもり?」
私がややかに尋ねると、兄はくをげた。
「許してもらおうとはっていない。ただ、俺が何のにってきているのかを、忘れずにきていくと誓う。……それだけだ」
私は封筒を丁寧に折りたたみ、バッグの奥へと仕った。
「分かった。その言葉だけは受け取っておくわ」
私は兄にさく会釈し、夜のへと歩きした。
の夜が、私の頬をよく撫でていく。
、兄の結婚式から排除され、で国のたい運を歩いていたのことをいした。あのの私は、族の輪から弾きされたことに絶望し、惨めさに震えていた。
だが、今の私には分かる。
族という名の誠実な檻に留まる必など、最初からなかったのだ。誰かの都のいい見栄のために自分の過をき換えさせず、自分のでち、自分のでを縫いわせていく。
私の過は、私のものだ。
誰にも奪わせないし、誰にも恥じない。
見げるの夜空には、澄み切った々がどこまでもく、美しく輝いていた。私はしっかりとを見据え、自分のへ、私のする常へと、確かな取りで歩みをめた。