"兄の結婚式に、実の妹の席だけありませんでした" 第11話
に族のために学を辞めさせられたと、寸分違わぬ搾取の論理が、平然と繰り返されようとしていた。結婚式には「恥ずかしいから」と排除しておきながら、面倒な介護や通院の付き添いとなると、「軽な族」として真っ先に差しされる。
「お父さん」私は震える唇をいた。「私はかないよ」
「……え?」
「お兄ちゃんに頼んで。を取らせて、お兄ちゃんに連れてってもらって」
「でも、幸介は会社があるし……」
「私にだって仕事があるの! 私のを、私の活を、これ以あんたたちの都のいいように削り取らないで!」
受話器を叩きつけるように切り、私は作業台に突っ伏した。
涙はなかった。ただ、親兄弟という血の繋がったたちが、どこまでも私をの独したとして尊していなかったという事実が、骨の髄までえ切るほどに理解できただけだった。
翌週の曜、父の内障術のだった。
私は事に兄へメッセージを送り、「父の術にはあなたが付き添うべきだ。拒否するなら、私は親族関係を完全に清算するための法続きを取る」と通告していた。
兄からは、ただ言、「分かった。俺がを取ってく」とだけ返信があった。
その、私は朝から晩まで、預かっていた毛皮のコートのリメイク作業に没した。針をめるも、計の針が気にならなかったと言えば嘘になる。
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午は受付と術の検査。午に術を受け、術の静を経て、夕方に会計と薬の受け取り。自由な父のを引き、混雑する病院内を歩き回るのがどれほど神経をすり減らす作業か、私はをもってっていた。
かつて父が入院していた頃、そのすべての雑務をに背負っていたのは私だった。兄はその、の効いた学の講義で友と笑いっていたのだ。
夜の半、を閉める準備をしていた、作業台のスマートフォンが震えた。
幸介からだった。
通話ボタンを押し、無言でに当てた。
「……終わったよ」
スピーカー越しに聞こえてきた兄の声は、を啜ったのように嗄れ果て、極度の疲労に打ちのめされていた。
「父さんを実に送り届けて、今、自分のに着いたところだ」
「お疲れ様」
私は淡に返した。
話の向こうで、い沈黙が流れた。やがて、兄が掠れた声でポツリと言った。
「……今、父さんに付き添って、病院のベンチに座っててさ。俺、初めて分かったよ」
「何が?」
「俺たち……結婚式のは、おを『族じゃない』みたいに追いしたくせに……こういう面倒なだけ、当たりみたいに『族だから助けろ』って押し付けてたんだな」
兄の声が、微かに震え始めた。
「俺、を取っただけで、会社からの連絡が気になってイライラして……目が見えない父さんが歩くのが遅いことに、腹ので舌打ちしそうになったんだ。
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でも、おは歳のから、自分のを全部止めて、何もこの役回りをでやってたんだよな」
受話器の向こうから、嗚咽が漏れ聞こえてきた。
「俺、最だよ……。妹のを奪って学をて、妹を恥ずかしがって結婚式から追いして……都のいいだけ妹扱いして……本当に、ごめん……ごめんなさい、理……!」
兄は話で、子どものように泣きじゃくった。
そのしのぎの謝罪でも、保のための言い訳でもない。自らが犯した罪のさと、妹に押し付けてきた苦痛のさを、自らの肉体を通して骨の髄まで理解した男の、本物の慟哭だった。
私は窓ガラスに映る、自分の静かな顔を見つめていた。
「……やっと、そこまで来たのね」
私のから漏れたのは、赦しの言葉ではなく、徹な事実の確認だった。
「お兄ちゃんが流してるその涙は、あんたが背負っていくべき罰の始まりよ。私を都よく使ってきた過は、泣いて謝ったって消えない。……度と、私のをあんたたちの物語の都のいい具にしないで」
私はそれだけを告げ、兄の返事を待たずに通話を切った。
胸の奥にあった黒い澱が、しだけ澄んでいくのをじた。
彼らを許すことは決してないだろう。だが、彼らが自らの醜悪さを自覚し、その字架を背負ってきていくこと——それこそが、私が勝ち取るべき尊厳の回復だった。