"兄の結婚式に、実の妹の席だけありませんでした" 第10話
そして今回の結婚式では、名の嫁に顔向けできない恥ずかしい妹だからって、式から追いした!」
「理、違うんだ……! 俺はそこまで……!」
「何が違うの!? あんたが学をて、派な企業に入って、綺麗な奥さんをもらえたのは、全部私のを踏み台にしたからじゃない! その踏み台にした妹を、今度は見栄のために隠蔽したのよ! あんたたちが守りたかった世体って、そんなに尊いものなの!?」
胸の奥に溜め込んできたのような叫びが、言葉となって溢れた。
兄は両で顔を覆い、パイプ子のでさく丸まった。指の隙から、粒の涙が零れ落ち、父の計簿のページを濡らした。
「ごめん……ごめん、理……俺は、本当に……なんてことを……」
絞りすような謝罪の言葉。だが、そこにどれほどの悔が込められていようと、奪われた私の代が戻ってくるわけではなかった。
「もう帰って」私は静かにノートを引き寄せ、引きしへと戻した。「度と、私ので族面をしないで」
兄はちがることができず、数分、暗い内で嗚咽を漏らし続けた。やがて、よろめく取りでシャッターの隙から夜のへと消えていった。
残された内で、私はく息を吐きした。
復讐を遂げた爽など、微もなかった。ただ、鉛をみ込んだようなたい静寂が、私の体を支配していた。
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兄との対決から週、今度は実の母・志保から話がかかってきた。
着信画面に表示された「母」の文字を見つめながら、私は淡な気持ちで通話ボタンを押した。
「理? あなた、幸介に何を吹き込んだのよ!」
受話器を取るなり、母の甲い詰問がんできた。かつての猫撫で声は消え失せ、保と苛ちが剥きしになっていた。
「幸介がね、急に実に来て騒ぎしたのよ! 昔の学費がどうのこうのって、私に鳴り散らして……あの子、ゆかさんともギクシャクしてるみたいじゃない! 婚々、庭を壊す気なの!?」
「吹き込んだんじゃないわよ。事実を突きつけただけ」
私は氷のようにたい声で答えた。
「子叔母さんからお父さんの計簿を見せてもらったわ。私がを辞めてしたおのこと、お母さんが全部隠して、親戚に私の悪を言いふらしてたこともね」
話の向こうで、母の息が詰まる音がした。
「そ、それは……あなただって納得して働いてたじゃない! 誰かが犠牲にならなきゃ、あのは潰れてたのよ! 母親の苦労もらないで……!」
「犠牲になったを、恥ずかしいからって結婚式から追いすのが、母親のすることなの?」
「だから、あれは向こうのご両親に気を使って……!」
「ゆかさんから全部聞いたわよ」
私の決定な言に、母は完全に言葉を失った。
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「ゆかさんのご両親は、私のことなんて何も気にしてなかった。お母さんが勝に嘘をついて、私を病な厄介者扱いしたのよね。……もう度と、私のに現れないで」
「待ちなさい、理! 理——!」
鳴のような母の声を無して、私は通話を切った。そので母の番号を着信拒否に設定し、スマートフォンを作業台に伏せた。
これで、すべてが終わったはずだった。
しかし、彼らの「族」という甘えの根さは、私の像を絶していた。
さらにヶが過ぎたの終わり、今度は父の携帯話から着信があった。父からの着信を拒否することはできず、私は恐る恐る話にた。
「……もしもし、お父さん?」
「おお、理か。母さんから聞いたんだがな」
父の々しい、枯れた声だった。事故の遺症で腰が悪く、最は力も著しく衰えていると聞いていた。
「来週、目の術を受けることになってな。内障の術なんだが……病院の送り迎えと、術の付き添いを、おに頼めないかって母さんが言ってるんだ」
胸の奥に、猛烈な吐き気が込みげてきた。
母は、自分では話をかけられないとるや、病気の父を盾にして私を呼びつけようとしているのだ。
「……お母さんは? お兄ちゃんは?」
「母さんはが痛むって言うし、幸介は仕事が忙しいだろうからって……。おなら、を休めば融通が利くだろうって」
自営業の独だから、いつでも呼びせる便利な駒。