"兄の結婚式に、実の妹の席だけありませんでした" 第6話
話の向こうから、兄の息を呑む気配がスピーカー越しに伝わってきた。
「あ……ああ。まあ、無事に終わったよ。滞りなくな」
「そう。良かったね。くらい集まったんだって?」
「……っ」
「恵子ちゃんから聞いたよ。親戚もみんな来てたって。お母さんは『本当に親しいだけのさい式』だって言ってたけど……ずいぶん賑やかな内輪だったのね」
言、事実を突きつけるごとに、兄の呼吸が荒くなっていくのが分かった。私は決して声を荒らげず、ただ淡々と、事務な確認をするように言葉をねた。
「私が呼ばれてないこと、お兄ちゃんも最初からってたんでしょ?」
い沈黙が流れた。
作業の窓のを、学の集団が黄い子を揺らして通り過ぎていく。常の平な景と、受話器から伝わってくる醜悪な保の沈黙の対比に、吐き気すら覚えた。
やがて、観したような、掠れた兄の声が落ちてきた。
「……ってたよ」
その瞬、母に嘘をつかれたよりもく、鋭い痛みが胸を貫いた。
っていたのだ。主役である兄自が、妹を式から排除する計画に最初から同していたのだ。歳の、私が自分の未来を削り、夜の厨で油まみれになって稼ぎしたで学を卒業した男が、私のを「恥」として切り捨てる共謀者だった。
「そう」
「あのさ、理、違うんだ! 俺も母さんから言われて……」
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「もういいよ」私は兄の慌てふためいた言い訳をたく遮った。「今、お兄ちゃんの言い訳を聞く気分じゃないから」
「待ってくれ! 頼むからちゃんと話を聞いてくれ! 今の夜、そっちのにっていいか? ちゃんと全部説するから!」
拒絶して話を切ることもできた。だが、彼らがどのような理屈と欺瞞をもって私を品定めし、排除したのか、その全貌を当事者のから直接聞きさなければ、私の尊厳は踏みにじられたまま終わってしまう。
「……にを閉めるから、そのならいいよ」
「分かった、必ずく!」
話を切り、作業台にスマートフォンを置いた。
そのの夜分。約束のをし過ぎて、の硝子戸を慮がちに叩く音がした。
半分ろしていたシャッターをげると、スーツ姿の幸介がっていた。昼の話のよりもさらに疲弊し、気を失った顔をしていた。私は無言でへ招き入れ、作業台のに置いた古いパイプ子を顎で示した。
「遅くなってすまない」
兄は居悪そうに腰をろし、ネクタイの結び目を緩めた。元のスタンドライトだけが照らす暗い内で、兄は線を泳がせながら、ポツリとをいた。
「……母さんがな」
番、母の名をした。どこまでもに責任を押し付けるその卑屈さに、たいりが込みげる。
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「お母さんが何?」
「ゆかさんの実がさ、元でく広く商売をやってるなんだよ。親戚付きいも広いし、柄とか体裁をすごく気にするで……。両の顔わせが終わった、母さんが急に神経質になり始めちゃってさ」
兄は申し訳なさそうな顔を作りながら、母が語ったという「理由」を並べてた。
私が歳で学を退していること。代半ばで度結婚し、数で婚していること。そして今は会社勤めではなく、での繕いをするさなをやっていること。
「向こうのご親族に、理の経歴をどう説すればいいのかって、母さんがすごく悩んでて……。相のが派だからこそ、うちに変な傷があるとわれたくないって。母さんが『今回は理には慮してもらった方が、両のためにも丸く収まる』って言いしたんだ」
兄のから吐きされる言葉のつひとつが、まるで私のきてきたを「良品」として査定する刃物のように聞こえた。
私が学を辞めたくて辞めたとでもっているのか。婚だって、元夫の銭トラブルと貞に耐えかね、弁護士をてて自力で勝ち取った正当な再発だった。このも、縫製で技術を盗み、を啜るようないでようやく軌に乗せた、私のだ。
それを、母と兄は「相の柄に釣りわない、隠すべき恥」