"風呂を禁じた義母と、家を出た嫁の反撃" 第3話
「退職はどこへやったの! 親の面倒も見られない来損ないが!」 と鳴り散らし、踵でドアを蹴りげた。
由が「お母さん、やめてください! 正斗は今、の治療が必なんです!」とに入れば、今度はその矛先が由へと向けられる。 「あなたが甘やかすからあの子がつけあがるのよ! 男の尻を叩いて稼がせるのが嫁の甲斐性でしょうが!」
松恵の暴虐はを追うごとにエスカレートしていった。 勝に蔵庫をけて由の作り置き料理をべ尽くし、材の買いしや費には銭もさない。 自分はリビングのソファに寝転がり、テレビを見ながら級な取り寄せスイーツを貪りう。
そして何より――由のをく抉ったのは、義母の暴言が響き渡る、夫の正斗が、ただの度もその部の鍵をけててこなかったことだった。 を澄ませば、微かに聞こえるテレビゲームの効果音。 妻が自分の母親から罵倒され、庭の全負担を背負ってすり減っているその瞬に、夫は扉の向こうで息を潜め、現実から目を背け続けていたのだ。
(正斗……どうして……どうして言も、言ってくれないの……?)
夫婦の絆という名の糸が、音もなく、本ずつ千切れていく音がしていた。
嵐のような同居活が始まって週が過ぎた頃、がの玄関先に、さらなる災厄が投された。
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曜、正午。 現れたのは、正斗の歳の妹・陽奈子(ひなこ・歳)だった。 ブランド物のサングラスを額に掲げ、派なミニ丈のワンピースを着こなした彼女の隣には、きなボストンバッグを元に置き、ランドセルを背負った歳の――甥の琢磨(たくま)が、の消え失せた瞳でち尽くしていた。
「あ、由さん、ちょうどよかった〜! ちょっとこの子、預かってくれない?」
玄関ドアをけるなり、陽奈子は悪びれる様子もなく言い放った。 「夫がさ、また半の張にっちゃって。私、これから友達とリゾートに旅にくのよね〜。ほら、お母さんもここにいるんでしょ? だったら子供が増えたところで、洗濯物とご飯の量がちょっと増えるだけだし、ノープロブレムでしょ!」
「ちょっと待ちなさいよ、陽奈子さん! 琢磨君の学はどうするの!? それに、いつまで預けるつもりなの!?」
「あ、学はとバスで通えるから丈夫〜。期? まあ、私の気が済むまでかな! じゃ、よろしくね〜!」
由の制止のを振り切り、陽奈子はめてあったいオープンカーにび乗ると、派な排気音を響かせてりってしまった。 に残されたのは、いランドセルを背負った学の琢磨と、呆然とち尽くす由だけだった。
「……由さん」 琢磨が、ポツリと呟いた。
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びた、酷くめた声だった。
「迷惑なら、俺、児童相談所でも警察でもくよ。……あの女、男と旅にくだけだから。いつものことだし」
「琢磨君……」 由の胸が、激しく痛んだ。 この聡なは、母親の奔放さと勝さを、幼いながらにすべて見抜いていたのだ。 由はのさな肩を抱き寄せ、「うちにいていいのよ。ご飯もちゃんとあるからね」と告げた。
だが、この琢磨の滞が、庭内の歪みをさらに決定なものへと押しめた。
松恵は「い孫」であるはずの琢磨に対し、過剰で押し付けがましいを向けた。 「琢磨ちゃん、おばあちゃんが何でもしてあげるわよ!」「塾の勉なんてしなくていいから、おばあちゃんとお話ししましょ!」 しかし、琢磨は松恵の偽善を嫌悪し、徹底に距を置いた。 「寄らないで。うざい」 そう言って自に引きこもり、由の事の伝い――配膳や洗濯物の取り込みだけを、黙々と伝ってくれた。
そして、ある夜。 由は琢磨のから、信じられない事実を聞かされることになる。
「……由さん。俺、正斗おじさんと、毎晩ゲームので喋ってるよ」
「……え?」
「同じオンラインゲームをやってるんだ。ボイスチャットで、作戦てたりしてさ。正斗おじさん、ゲームのだとすごくくて頼りになるんだよ」
由の目のが、真っ暗になった。
妻が夜まで働き、計を支え、義母の暴言にで耐えている。 夫は、部の扉を固く閉ざしたまま、甥っ子とオンラインゲームに興じ、笑いっていたのだ。