"月給55万円を削られた古参社員の静かな逆転" 第5話
先代社の代から、佐藤の臭い営業姿勢を誰よりもく評価してくれていた物だった。
『し、を疑うような話を聞いてね。君の会社の若い男から、今朝がた本の械なメールが届いたそうだ。契約の更類を添付したから子署名をして送り返せ、担当は変更になった、とな。君からの事の言もなしにだ。……佐藤君、君のに何があった』
佐藤は姿勢を正し、昨の来事を淡々と、誇張も隠してもせずに報告した。 万円の減通告を受けたこと。古いやり方を会社の負担と断じられたこと。そして、自らので昨付で会社を辞したこと。
話の向こうで、い沈黙が流れた。 やがて、カチリとライターで煙にをつける微かな音が響いた。
『……そうか。宗助さんがくなってから、あの会社もずいぶんと通しが変わったとはっていたが、まさかそこまで腐り果てていたとはな』
会の声には、静まり返ったりが宿っていた。
『君のの献を、万円の減で踏みにじるか。代目は、会社というが誰の漕ぐオールでんできたのかを、まるで分かっていないらしい。……佐藤君、つ聞きたい。君の退職に伴って、例の件はどう処理されている?』
「例の件、と申しますと……」
『田とかいう若造が導入したシステムだよ。
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あれは本当に全なのかね? が社のセキュリティ基準をクリアしていると、君は太鼓判を押せるかい?』
その問いに、佐藤の背筋がたく凍りついた。
「……会、々おをいただけますでしょうか。元に確認したい資料がございます」
『うむ。分かり次第、私の個携帯に連絡をくれたまえ。待っているよ』
通話を切った佐藤は、りで階の斎へと向かった。 本棚の最段、鍵のかかるキャビネットをける。取りしたのは、先代社からに譲り受けた、傷だらけの茶革のブリーフケースだった。
パチン、と具を弾いてけると、には分いのファイルが何冊も詰め込まれていた。 表には佐藤のきで『グループ案件・システム移検証記録』とかれている。
佐藤は震えるでページをめくった。 そこには、田が半に独断で導入をめた社内ネットワークおよび受発注システムの、致命な脆性が克に記録されていた。 田は自の導入コスト削減の成果をアピールするため、本来必須であるはずの規模ファイアウォールと暗号化プロトコルのライセンスを勝に除していたのだ。
佐藤はその危険性にいちく気づき、先代の遺産である裏の予備サーバーをで繋ぎ止め、毎夜で残業しながら、きの台帳と突してセキュリティの綻びを塞ぎ続けていた。
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佐藤が「無駄な残業」と罵られていたこそが、会社をグループの密漏洩という破滅の危から救っていた唯の防壁だったのだ。
だが、ファイルの最のページをめくった瞬、佐藤は目を見張った。
パラリと落ちてきた枚の振込細のコピー。 そこには、田が「システム保守管理費」として毎計していたダミー会社への注費の送記録があった。
送先の名義は、田の実弟が経営するペーパーカンパニー。 そして、その毎の送額は——奇妙なほど正確に「万円」と印字されていた。
「……まさか」
佐藤の喉から乾いた声が漏れた。 万円。自分が理尽に削られようとしていた額と、寸分違わず致していた。 田が犯していた組織な横領の穴埋め。鈴社が「見せしめ」と称してしようとした料減額の真の理由は、会社の経営難などではなく、幹部たちの私利私欲によっていた正の穴を、佐藤個の与で埋めわせるための卑劣極まりない隠蔽作だったのだ。
佐藤が斎で戦慄の事実に辿り着いていた頃、株式会社鈴の社は、まさに蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。
「どういうことだ、田! 説しろ!」
鈴社の声が、フロアに響き渡っていた。 元のパソコンの画面には、グループの法務部および調達本部から連名で届いた、極めて事務かつ徹な子メールが表示されていた。