"妹に夫を譲れと言われた結婚式の翌朝" 第10話
かつて百への偏で庭を壊しかけた父は、その罪滅ぼしをするかのように、毎週末になると野菜や果物をいっぱいに積み込んでがへ通い詰めた。蓮を肩し、双子におむつを替え、葵を抱っこしては目尻をげてデレデレになっていた。
「ありさ、おは本当に派な母親になったな。……昔の俺の過ちをうと、今でも胸が痛むよ」
縁側でとビールをみながら、父は折そう呟いてさく肩をすぼめた。その横顔には、かつての頑迷な頑固親父の面はなく、ただただ族の幸せを祈る好々爺の穏やかさだけがあった。
そんな折、実に通のが届いた。
差は、にをびしていった百だった。
には、これまでの非礼を詫びる殊勝な言葉が並んでいた。をた、方都のワンルームマンションを転々としながら派遣の仕事をしていたが、職の関係がうまくいかず、体を壊して働けなくなったこと。孤独ので過を振り返り、いかに自分が愚かで、姉夫婦や両親を傷つけていたかを痛したこと。
『お父さん、お母さん。そしてお姉ちゃん、アキちゃん。本当にごめんなさい。もう度だけ、族としてやり直すチャンスをください』
便箋には、涙で滲んだような染みが点々と残されていた。
実で族会議がかれた。
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父は複雑な表で腕を組み、母は「あの子もしはになったのかしらね……」と溜息をついた。
「ありさ、君。おたちが嫌なら、絶対に実には戻さん。どうう?」
父の問いに、私は隣のと顔を見わせた。
という歳は、のりを化させるには分なだった。私自、の子どもを育てるで、親が子を見捨てきれない気持ちも痛いほど理解できるようになっていた。も「反省しているなら、度顔をわせて話してみてもいいんじゃないか」と穏やかに微笑んでいた。
「お父さん、お母さん。百が本当にを入れ替えたのなら、実に戻してあげて。私たちも、昔のことを蒸し返すつもりはないから」
私のその言で、百の実への復帰が決まった。
数、実へ戻ってきた百は、髪を黒く染め、質素な装にを包み、私たちので畳に額を擦り付けて涙を流しながら謝罪した。
「お姉ちゃん、アキちゃん、本当にごめんなさい……! 私、どうかしてたの……!」
その姿を見て、私たちはすっかりしていた。百も苦労をねて、ようやく普通のとしての分別をにつけたのだと、信じ切っていたのだ。
——だが、それはすべて、狡猾な計算に基づいた『演技』に過ぎなかった。
百が実に戻ってから数ヶが経ち、そのの瀬が訪れた。
、晦。
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私たちは子どもたちを連れて実へ泊まり込み、総で越し蕎麦をべ、戦を観ながら賑やかな夜を過ごしていた。百は子どもたちの面倒を甲斐甲斐しく見ているように見えたが、ふとした瞬に、のろ姿をじっと見つめるその線には、と同じ、暗く粘りつくような執着の炎が宿っていることに、私は気づくべきだった。
付が変わる直、子どもたちは階の広でのように眠りについた。
居では、父と母がテレビを観ながらコタツでうたた寝を始めていた。も子どもたちの相で疲れ果て、階の客に敷かれた布団に潜り込み、すでにい鼾をてて爆していた。
私は台所で、の元旦に振るうお雑煮の汁を取り、汚れた鍋や器を片付けていた。洗い物の音が、夜の静まり返った本に静かに響いていた。
そのだった。
百が、台所の引き戸をそっとけて入ってきた。には、本酒の瓶とグラスが握られていた。顔はほんのりと赤く、すでにかなりの酒を煽っているのが見て取れた。
「お姉ちゃん、まだ片付けやってるの? 偉いねえ」
「うん、もうすぐ終わるよ。百もあんまりみすぎないで、く寝なよ。は朝から子どもたちが騒ぐんだから」
「ふふっ……分かってるよ。ちょっとトイレってくるね」
百はふらつく取りで台所をてった。
私は特に気に留めることもなく、最の皿を布巾で拭き、シンクの周りを綺麗に拭きげた。