"妹に夫を譲れと言われた結婚式の翌朝" 第3話
百は私の肩をドンとく突きばし、自へと引きこもった。
呆然とする私を置いて、翌朝から実での湿極まりない嫌がらせが始まった。
最初にターゲットになったのは、常の活線だった。私が仕事から疲れて帰宅し、最にお呂に入ろうと脱所へくと、直に呂からがった百によって、浴槽の栓が見事に抜かれて空っぽになっている。湯沸かし能のない古いバランス釜のがでは、度湯を抜かれれば、夜に再び沸かすには分以かかる。
「まあ、シャワーがあれば汗は流せるしね」
私は苦笑いしてやり過ごした。これくらいの嫌がらせでキーキー騒げば、それこそ相のう壺だ。しかし、百の攻撃はを追うごとに悪質さを増していった。
勤の慌ただしい朝、洗面台の引きしに入れておいた私の化粧ポーチが忽然と姿を消す。探すもなくすっぴんで勤する羽目になり、翌週には玄関に置いてあった私の通勤用スクーターのキーが、靴箱の奥くに隠されていた。
極めつけは、私の財布とスマートフォンの隠蔽だった。
「ない……! 嘘でしょ、さっきまでテーブルのにあったのに!」
遅刻の恐怖に震えながら、畳をめくり、クッションをひっくり返して必の宝探しをさせられる。度も始業ギリギリに駆け込むことになり、信の支から「神崎さん、結婚で浮ついているんじゃないかね」
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とややかな線を向けられた、私の温なの限界は完全に決壊寸まで達していた。
「百! いい加減にしなさい! 鍵や財布を隠すなんて、子どもの嫌がらせのレベルを超えてるわよ!」
母が激し、居で百を厳しく問い詰めた。だが、百はふてくされて爪の先を見つめ、「証拠でもあるわけ? お姉ちゃんがおっちょこちょいで失くしたのを私のせいにしないでよ」と平然と言い放つ。
そして、この状況を最悪の方向へこじらせたのが、ならぬ父だった。
父が百を異常なまでに甘やかすのには、庭内の根い歴史があった。百がヶの、母が度の産褥と敗血症を併発し、ヶにわたるを彷徨う入院活を余儀なくされたのだ。当、まだ幼かった私を母方の祖父母に預け、首も座らない赤ん坊の百をで抱え、仕事を休み、寝るを惜しんでミルクをませ、オムツを替え、夜泣きに付きい続けたのが父だった。
「自分がこのでかした」という烈な自負。父にとって百は、単なる次女ではなく、自らの母性と父性を注ぎ込んだ「もっとも脆で、自分が守らねばならない宝物」として刷り込まれてしまっていたのだ。
幼い頃から、偏の兆候は骨だった。遊園にきたいと主張する私と、族館にきたいと泣き叫ぶ百がいれば、父は何の躊躇もなく族館を選んだ。
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母が公平に私をフォローしてくれていたからグレずに済んだものの、父の秤は常に百へと傾いていた。
「ありさ、おもしは妹の気持ちを考えたらどうなんだ」
ある夜、自に私を呼びした父は、腕を組み、興を買ったような顔で説教を始めた。
「百から聞いたぞ。昔から君と百は両いだったそうじゃないか。それをっていながら、おが横から割り込んで君を誑かしたと。百は部で毎晩泣いているんだぞ」 「お父さん、正気なの!? 百の真っ赤な嘘よ! に聞いてみなさいよ、百のことなんてただの幼馴染の妹としかってないって言うから!」 「君も君だ!」父は机をドンと叩いた。「姉妹を秤にかけ、がを引っ掻き回すような軽な男だ! おも目を覚ませ。あんな男に騙されているんだ。百を泣かせてまでする結婚など、俺は断じて認めんぞ!」
何を言っても、父の分いの膜を通過することはなかった。百の流す涙は真実で、私の抗弁は「妹を虐げる酷な姉の言い訳」に変換されてしまう。
結婚を目にして、この沼の精神戦に付きわされるのは御免だった。私はと緊急族会議をき、当初の予定をヶ倒しして、すぐにでも実をる決断をした。