"浄水器の異物から、夫の秘密が暴かれた" 第12話
私は真しいキッチンのレバーを引いた。
シューッという清らかな音をてて、透き通ったが勢いよくガラスのピッチャーに注がれていく。
事件直は、の蛇を見るだけで悸が激しくなり、未封のペットボトルのですらむのを躊躇うほどのフラッシュバックに苦しんだ。だが、をかけ、全であることを自分のとデータでつずつ確認し直すことで、私の体はしずつ恐怖を克していったのだ。
ピッチャーのを気ケトルに移し、スイッチを入れる。
コトコトと湯が沸くよい音が、リビングを満たしていく。お気に入りの陶器のティーポットに茶葉を入れ、湯を注ぐ。ちるダージリンの芳醇なりが、初のに乗って部いっぱいに広がった。
カップに茶を注ぎ、私は窓際のダイニングチェアにく腰をろした。
テーブルのには、父から受け継いだ駅の賃貸ビルの、壁規模修繕事の完報告が置かれていた。
かつては「難しいことは俺に任せろ」という夫の甘言に怯え、自分で目を通すことすら避けていた契約類。今では、私が自ら複数の建設会社から相見積もりを取り、施計画を精査し、階の喫茶のマスターをはじめとするテナントの主たちと膝を突きわせて話しいをねて完成させた、正真正銘の私の仕事の成果だった。
『美央ちゃん、ビルが見違えるように綺麗になったよ。お父さんも国で胸を張ってるよ』
今朝、喫茶のマスターから届いたメッセージをいし、私の元に自然と笑みがこぼれた。
、温かい茶をに含む。
豊かな渋みと甘みが喉を潤し、じんわりと体の隅々へ染み渡っていく。
誰の顔を窺うこともない。誰の嫌を取る必もない。
今べるものも、く所も、このを満たす空気も、すべて私が自分で選んでいる。
父が遺してくれたこの温かいで、私はこれからも、私自のを、私自ので歩み続けていく。
窓のを見げると、どこまでもく、澄み切ったの青空が、眩いばかりのを投げかけていた。