"浄水器の異物から、夫の秘密が暴かれた" 第6話
「はい。奥様と同じ保険会社で、同じ管理部の総務課を務めておられる……佐野恭子さんです」
を鈍器で殴られたような衝撃に、私は息を吸い込むことすら忘れてち尽くした。
佐野恭子。
入社員として入社した代半の頃から、私の教育係として公私にわたり面倒を見てくれた先輩であり、直属の司だった。私の父がくなった葬儀の際にも誰よりもく駆けつけ、泣き崩れる私の背をさすり続けてくれた恩。このヶ、原因の体調良で欠勤や退を繰り返す私を、「美央ちゃん、無理しちゃダメよ。あなたの体とご庭が番切なんだから」と優しい笑顔で庇い、産業医の面談や傷病当の続きを率先して配してくれていた、あの恭子さんだというのか。
「……嘘でしょう、先。何かの違いじゃありませんか? 恭子さんは……私の社内での番の方で、親代わりのようななんです」
「私も最初は誤信を疑いました。しかし、これは警察がサイバー犯罪対策課を通じてご主の個端末から復元した、クラウドストレージの音声通話ログです。暗号化された通話アプリの記録でしたが、発信元と着信元のIPアドレス、端末固番号、そして音声データの声紋鑑定により、紛れもなく佐野恭子氏本のものであると特定されました」
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弁護士の声は、どこまでも徹で、逃れようのない現実を突きつけていた。
「録音データの付は、の。奥様が最初の体調異変を訴える、ちょうどヶです。通話ので、佐野氏はご主に対し、奥様が加入している団体定期保険および就業能特約、ならびに度障害見の支件について、極めて精緻なほどきをっています」
『美央ちゃんの会社の共済保険ね、医師の確定診断さえあれば、精神疾患や原因の自律神経障害でも最、基本の割が付されるのよ』
弁護士が読みげるログの抜粋テキストが、私の鼓膜を切り裂くように響いた。
『しかも、所定の度障害状態に該当すれば、として千万円が括で支払われる特約がついているわ。受取は法定相続……つまり、配偶者であるあなたよ。ただし、急だと社内のコンプライアンス部と保険査定部がいて、自然な事故として徹底調査が入る。だから絶対に気に片付けちゃダメ。しずつらせて、就業能状態を継続させてから、自然な形で障害認定を取るのが番確実なの』
受話器を持つ私の指先が、完全に覚を失っていた。
私の会社は保の関連会社であり、社員向けの福利共済や団体保険の査定基準は、部者には到底り得ない内部規程で固められている。
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それを熟し、夫である公平に悪用法を指できた。社内で私の勤務状況、保険の加入状況、そして健康診断の数値を自由に閲覧できるにいた——それは、総務課の佐野恭子以にあり得なかったのだ。
「なぜ……恭子さんが、公平と……」
「それについても裏が取れました」弁護士のトーンが段くなった。「ご主がをしていた方の正産投資。その最初の販売元であり、巨額の数料をキックバックしていた同会社の登記簿を追跡したところ、代表社員の名義が佐野恭子氏の内縁の夫でした。つまり、ご主と佐野氏は、個な投ビジネスで利害を共にする共犯関係にあったのです。ご主の債務破綻を防ぎ、同に奥様の資産と保険を法に掠め取るためのシナリオを、が裏で周到に描いていたのです」
膝が激しく震え、私はベッドの脇の絨毯のに崩れ折れた。
夫だけではなかった。義母だけでもなかった。
私が信じ、頼り、謝していた関係のすべてが、私というの女を貪りうために張り巡らされた巨な蜘蛛の巣だったのだ。
私が会社で倒れそうになるたび、「美央ちゃん、今もお茶を入れてあげたから、これをんでし横になりなさい」と恭子さんが差ししてくれた保温マグ。あの温かいハーブティーの湯気の向こうで、彼女は体どのような酷な計算を働かせていたのか。