"浄水器の異物から、夫の秘密が暴かれた" 第5話
期摂取し続ければ、肝能や腎能に篤な障害が残る危険性がありました」
背筋に悪寒がった。殺害するためではなく、を確実に病気にさせ、考力と体力を奪い続けるための劇薬。
「そして、ここからが本題です」刑事課の捜査員が、枚の流通調査をテーブルに滑らせた。「この特殊試験材は、般のには切流通していません。産業用の専商社から法名義でのみ発注能な特定管理薬品です。メーカーのロットナンバーから納品ルートを遡ったところ、都内の堅産ディベロッパーへ納入されていました」
捜査員の指先が、納品伝票の担当者欄をトントンと叩いた。
そこには、見慣れた夫の直サインがくっきりと印字されていた。
『配担当者:川公平』
「ご主が、ご自の勤務先のプロジェクト名義でこの資材を横領し、自宅へ持ち込んでいたことが判しました」
目のが真っになった。
義母の単独犯ではなかった。夫の公平こそが、この恐ろしい毒物を調達し、母親に指示をして私のキッチンに仕込ませた張本だったのだ。
毎朝「無理するなよ」と差ししてくれたコーヒー。
寝で私の背をさすりながら見せていた、あのしげな瞳。
その裏で、男は妻が確実にっていくプロセスを徹に観察していたのだ。
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私はちがり、警察署の廊を千鳥で歩きながら、依頼していた弁護士・の携帯話を鳴らした。
「先……夫の周辺を、徹底に洗ってください。あいつがなぜ私を病気にさせたかったのか、その理由をすべて暴いてください」
数、弁護士から緊急の連絡が入った。
「川さん、変な事実が分かりました。ご主の会社の協力を得て業務端末のメールと通信ログを保全したところ、恐るべき企みが浮き彫りになりました。ご主は方のワンルームマンション投資に失敗し、個に千万円を超える債務を抱えて自己破産寸でした」
「借千万円……!?」
「ええ。そして彼は、融関に対して信じがたい類を提していました。『妻は現、度の症により判断能力を喪失しつつある。に、妻が所する商業ビルおよびの管理・処分権限を包括委任する面を提予定である』と」
弁護士の声が、受話器の向こうでりに震えていた。
「さらに警察の宅捜索により、ご自宅の斎の庫から、奥様の実印と、未署名の『包括財産管理委任契約』が発見されました。ご主は、奥様が病気に耐えかねて仕事を辞め、考力を完全に失ったタイミングを見計らって、その委任状にサインをさせ、お父様のビルを借のカタに売りばす計画だったのです!」
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受話器を握る私の指が、ミシミシと音をてた。
父が命を削って遺してくれたビル。いの詰まった。
それを奪い取るために、夫と義母は徒党を組み、ヶもの、私のみに毒を盛り続けていたのだ。
許さない。
私の胸の奥で、ヶくすぶり続けていた自己嫌悪としみが、灼のりへと姿を変えた瞬だった。
だが、弁護士はそこで言葉を切り、息を呑むようない沈黙を置いた。
「……川さん。実は、押収されたご主の個端末から復元された通話録音のに、もうつ、信じがたい記録が見つかりました」
「もうつ……?」
「ええ。浄器の細を施すヶ、ご主はある物と『美央の命保険の受取変更と、度障害保険の特約追加』について、極めて具体な相談を交わしていました。その相は……」
弁護士が告げたその名を聞いた瞬、私の全から血の気が完全に引き、世界が音をてて崩れった。
「……先、そのは……まさか……」
震える私の声に、弁護士は厳な事実を突きつけた。
「はい。奥様が最も信頼し、今回の体調良についても番に相談されていた、あの物です」
「……先、そのは……まさか……」
震える私の唇から漏れた問いかけに対し、弁護士は受話器の向こうで、く、沈痛な吐息をついた。法律事務所の静まり返った執務の空気が、話回線を通じて私のホテルの部まで伝わってくるようだった。