"「飯抜き」と言われたので、夫との生活を全部やめました" 第6話
「? 現実を見なさいよ。……それから、裕介さん。あなたがどうしてそこまで必に、私を実に同居させて会社を辞めさせようとしていたのか、その『本当の理由』を教えてあげましょうか?」
受話器の向こうで、裕介の息がピタリと止まった。
綾野は、元に広げていた興信所の調査報告のページ目を、指先で静かに弾いた。
「……な、何を言ってるんだ? 本当の理由って……親父たちの老を配してのことに決まってるだろ!」
受話器の向こうで、裕介の声が目に見えてうわずった。気な声の奥に、隠しきれない揺と恐怖が透けて見えている。
綾野は元のデスクに置かれた、みのあるの束を指先でトントンと叩いた。
ホテル暮らしを始めた直、彼女はただ息に浸っていたわけではなかった。命保険会社で何百もの契約者の財務状況や関係の破綻を目の当たりにしてきた綾野の直は、「夫の解な言の裏には、銭な事態が隠されている」と警告を発していたのだ。
彼女は迷わず、職の顧問弁護士を通じて信頼できる総探偵社を紹介してもらい、裕介の辺調査を依頼していた。そして昨、その最終調査報告が元に届いたばかりだった。
「裕介さん、あなたのの会社、本当に『自分から辞表を叩きつけて』退職したの?」
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「……あ?」
「調査報告によるとね、あなた、会社の営業企画部の経費を私に流用していたのが経理にバレて、懲戒解雇寸で自主退職に持ち込まれたそうじゃない」
話の向こうから、ヒュッと息を呑む音が聞こえた。
「しかも、使いは輩や友への見栄の奢りだけじゃなかった。会い系アプリでりった複数の女性への貢ぎ物、それから消費者融とカードローンからの債務。総額で百万円くに膨れがっているわね」
「な……な、んでそれを……!」
「私の仕事を舐めないで。融と調査のネットワークを甘く見すぎよ。そして極めつけは、あなたの実のと建物。お義父さんが庭菜園をやっているあの広い敷、昨のにすでに担保に入れられているわ。債権者は怪しげな産担保ローン会社。返済が滞れば、半には競売にかけられる状態よ」
綾野は徹な声で、枚ずつめくった報告の事実を突きつけた。
「お義父さんの膝の激痛芝居も、お義母さんのしんみりした涙も、全部グルだったのね。私を実に同居させて会社を辞めさせようとしたのは、私の独代の預百万円と、退職を吐きさせて、あなたと実の借を括返済させるため。さらに、私を実の『無の政婦兼介護員』として禁し、逃げられないように部との繋がりを断ち切る算段だったんでしょう?」
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「ち、違う! それは……!」
「違わないわ。あなたがにした『部の件』も『困ったのための貯』も、すべて私のおをどうやって法に巻きげるかの計画だった。私を『飯抜き』で脅して精神に屈させようとしたのも、っ取りく言うことを聞かせるためのモラハラよ。……自分の親と結託して、妻を借の穴埋め具にするなんて、として最の底が抜けているわ」
裕介は完全に言葉を失っていた。先ほどまでの「の威厳」などどこにもなく、歯の根がわずにガチガチと鳴る音すら伝わってくるようだった。
数秒に及ぶい沈黙を破ったのは、裕介のけないすすり泣きだった。
「綾野……頼むよ、悪かった! 俺が悪かったよ! 全部正直に話すから、に戻ってきてくれ!」
プライドをかなぐり捨てた、見苦しい泣き落としが始まった。
「も気も止まって、俺、もうもしかんでないんだ! 携帯のバッテリーもあとしで切れる! がないと、来週にはまがいの取りてがに来るんだよ! 親父もお袋も、を追いされたらに迷う! おしかいないんだ、俺たちを助けてくれ!」
「助ける?」
綾野は乾いた笑いを漏らした。
「なぜ私があなたたちを助けなければならないの? 私に対して『夫の言うことを聞かない妻は飯抜きだ』と言い放ったのは誰? お義父さんとお義母さんも、『夫に従えない女に飯をわせる必はない』って賛成していたわよね」