"「飯抜き」と言われたので、夫との生活を全部やめました" 第5話
会社に勤すると、同僚たちから「綾野さん、最顔が良くなったね」と声をかけられた。いかに自宅での活が、目に見えない毒のように彼女の気を奪っていたかが証されていた。
ホテル暮らしを始めて週が経過した頃、綾野は本格なを始した。
まず、実の両親に事の顛末をすべて話で打ちけた。突然の退職、無職のヒモ状態、義実での狂気じみた同居、そして「飯抜き」の暴言。
話を聞き終えた父は、受話器の向こうで激して声を震わせた。
「ふざけるな! 塩にかけて育てた娘を、何の伝いも介護員として差しすために嫁がせたわけじゃない! 綾野、おは歩も引く必はない。婚の準備をすぐにめなさい。活費の援助が必なら、いつでも実を頼っていい」
母も涙声で寄り添ってくれた。
「辛かったわね、綾野。全部で抱え込ませてごめんなさい。弁護士の当たりならお父さんのりいにいるから、何でも相談しなさいね」
本物の族の温かさに触れ、綾野の瞳から温かい涙が零れ落ちた。自分には帰る所がある。守ってくれる親がいる。その確信が、綾野のを鋼のようにくした。
綾野が次にったのは、ライフラインと資ルートの完全な遮断だった。
自宅マンションの賃、費、Wi-Fiの通信費が引き落とされていた共同座への、与自振込設定をすべて解除。
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自の与振込先を、独代から使っていた別のネットの個座へと変更した。
さらに、自宅に残してきた共同座の残をネットバンキングで確認し、残っていた僅かな残をすべて自の個座へ送。座の残を、見事に「ゼロ円」にしたのだ。
裕介が勝に使っていた族カードも、カード会社のウェブサイトから即利用止の続きを完させた。
そして、綾野はホテルをチェックアウトし、勤務先のくにあるマンスリーマンションをヶ契約で借りげた。必最限の着替えと仕事具は、裕介が昼寝をしているであろう帯を狙って真紀(妹)と屈な友に頼んで自宅から回収済みだった。
それから約ヶ、裕介からの連絡は完全に途絶えていた。
「飯抜き」を言い渡した、自分から連絡すれば負けだとでもっていたのだろう。綾野が音をげて「反省しました、介護しますからご飯をべさせてください」と泣きついてくるのを、空腹の部でじっと待っていたに違いない。
だが、の半ば。
綾野のスマートフォンが、けたたましい着信音を鳴らし始めた。画面に表示された名は『裕介』。
綾野は徹に息をえ、通話録音ボタンをオンにしてから、スピーカー通話のアイコンをタップした。
「……もしもし」
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『おい!! 綾野!! てめえ、体何をやったんだ!!』
スピーカーから鼓膜を突き破らんばかりの声が響き渡った。声は震え、荒い息遣いが混ざっている。
『気がつかねえんだよ! もガスも止まりやがった! トイレのも流せねえし、呂にも入れねえ! 部のが極寒で凍えにそうなんだよ!』
綾野はデスクののコーヒーをすすり、極めて平穏な声で返答した。
「ええ、そうでしょうね。先の引き落としに座の残をゼロにしておいたから、滞納で供がストップしたのよ」
『ふざけるな! なんでそんな勝なことするんだ! 活費を払うのはおの義務だろ!』
「あら、奇遇ね。私、あなたから『今から飯抜きだ』って言われたじゃない? にいないの活費を払う筋いなんてどこにもないわ。あなたが自分で代も気代も払えばいいじゃない。なんだから」
『俺が無職なのってんだろ! がねえんだよ! カードも止められて、コンビニのパンつ買えねえんだぞ! 嫁のくせに旦をこんな目に遭わせて、恥ずかしいとわないのか!!』
「恥ずかしい?」
綾野のえ切った声が、受話器の向こうの男の言葉を切り裂いた。
「半以も定職に就かず、事もせず、受かりもしない試験の言い訳ばかりして妻の稼ぎに寄していた無職の男が、どので『恥』を語っているの?」
『うぐっ……だ、黙れ! 俺にはがあるんだ!』