"廃屋を買った兄妹と、床下に眠る父の秘密" 第2話
けれど、な借まで抱えるよりはいい。
空自の元に残ったのは、与座の万千円だけだった。
そこから当面の活費も必になる。
むところを探して産を何軒も回ったが、歳の姉と歳の弟という組みわせを説するたび、担当者の表が曇った。
「保証は?」
「いません」
「ご両親は?」
「くなりました」
「弟さんの親権や監護については?」
「これから庭裁判所と相談しています」
そこで話は止まった。
空自は成でも、陽斗を伴う活には確認事項がい。定職があるとはいえ収入もく、初期費用を払えば貯はほぼ消える。
最の産をた、陽斗が聞いた。
「僕がいるから借りられないの?」
空はすぐを止めた。
「違うよ」
「でも、みんな僕を見る」
「陽斗は悪くない」
空は弟の両肩をつかんだ。
「お姉ちゃんがちゃんと探すから。陽斗はそんなこと考えなくていい」
そのの夕方、スーパーの掲示板で枚のを見つけた。
《辺の古 売却》
浜町潮見区。
付き戸建て。
価格万円。
空は数字を度見た。
賃貸ではない。
売却だった。
そのは築を超え、所者は方にんでいる。修繕費がかかり、買いがつかないため、の固定資産税を負担するより放したいという。
翌、空は紹介された司法士事務所を訪ねた。
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「本当に万円なんですか」
担当者は苦笑した。
「建物自体にはほぼ価値がありません。むしろ解体費用がかかるくらいです。所権移転費用や税を含めると、全部で万円しになります」
空の残にい。
「ただし、おすすめはしません」
「どうしてですか」
「漏りがあります。井戸も使えません。がいので属部分はかなり傷んでいます。それと……」
担当者が言いにくそうにした。
「昔から妙な噂があるです」
事故物件ではない。
誰かがくなった記録も確認されていない。
ただ、期んだが皆すぐていく。
夜になるとから叩くような音がする。
空は笑えなかった。
しかし万円で、自分たちの名のがに入る。
なくとも「弟がいるから」と入居を断られることはない。
翌週。
空は残のほとんどを使い、その古を買った。
通帳に残ったのは万千円。
司法士から鍵を受け取った、陽斗は目を輝かせた。
「これ、本当に僕たちの?」
「うん」
空は笑った。
「今からここが」
浜町のれ。
まで歩いて分。
青いトタン根は錆び、庭はだらけだった。
玄関をけると、湿気と埃の匂いが押し寄せた。
陽斗はをつまんだ。
「臭い」
「掃除したら丈夫」
内はとさな台所。
壁には染みがあり、廊のは歩くたびに軋む。
だが根の部を直せば、はしのげる。
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「お姉ちゃん」
陽斗が台所で呼んだ。
「ここだけ音が違うよ」
流し台の。
枚の板だけが濃い。
踏むと、
コン。
乾いた軽い音がした。
周囲の板とはらかに違う。
その夜、所の商へ米を買いにった。
番をしていた千代という代の女性は、が「あの坂の古」に越してきたと聞くと、箸を止めた。
「あんたたち、本当にあそこを買ったのかい」
「はい」
「誰から?」
空が所者の名を告げると、千代は首を傾げた。
「そのなら以に京へっただね。でも……」
「でも?」
「あの、度だけを全部直した期があるんだよ。くらいかな」
空は驚いた。
とてもそうは見えない。
千代は声を落とした。
「夜にが何台も来てね。を剥がしたり、壁を壊したりしてた。それから急に事が止まった」
「誰が事してたんですか」
「分からない。でも普通のには見えなかったよ」
へ戻り、空は台所のへしゃがんだ。
しい釘。
自然に濃い枚の板。
の事。
そして父の箱に入っていた、用途の真鍮の鍵。
まだ何もつながらない。
ただ、すぎるにも理由がある。
空はそれだけを帳へいた。
最初の、空は掃除だけで精杯だった。
の夜勤を減らしてもらい、昼は陽斗の転続きをめる。活をて直すため、使える具は粗ごみ置きから譲ってもらい、布団は千代が「孫が使っていたもの」
と言って持ってきてくれた。
目の夜。
異変は午分に起きた。