"義弟嫁の「セレブ家族」に隠された十二年前の秘密" 第13話
男は真澄の顔を見ろし、笑を浮かべた。 「ようこそ、『特区』へ。おの借百万円と渡航費、わせて千百万円で、あの融からおの柄を買い取った」
「か、買い取った……!? 冗談じゃないわよ! 私、スーパーバイザーとして雇われたのよ! 使館に話させなさい!!」
男が無言で顎をしゃくると、背の警備員が特殊警棒を真澄の腹部へ突き刺した。 ドスッ!! 「う……げぇっ……!」 胃液を吐きし、に転がって悶絶する真澄。
「使館? ここは治法権の軍閥支配域だ。警察も軍も、俺たちのでいている。……おの仕事は、本を騙して投資詐欺の架空サイトにを振り込ませる『打ち子』だ。、割り当てられたノルマを達成するまで寝ることは許されない」
男は真澄のスマートフォンを取りげ、コンクリートのへ叩きつけて軍靴で々に踏み砕いた。 「パスポートは庫に保管した。逃げようとすれば、敷の原で吹きぶか、警備員に射殺されるか、あるいは臓器を抜かれて川に捨てられるだけだ。……千百万円を完済するまで、おはただの番号だ。て、百番!」
「いや……いやああああっ!!」
真澄の絶叫は、キーボードを叩く無質な音と、エアコンの唸り声にかき消されて消えた。 級寿司、タダ宿、セレブ教育、ブランド品。 の善と財産を貪り、見栄と嘘だけできてきた女が辿り着いたのは、気ショックと暴力が支配する、この世の獄だった。
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カンボジアの国境塞に監禁されてから、半が経過していた。
季のスコールがトタン根を激しく叩く夜。 真澄は、骨と皮ばかりに痩せ細り、擦り切れたボロ布のようなをまとって、暗い作業デスクに向かっていた。 かつて自だった艶やかな髪はボサボサに乾き、顔面には連の暴力による青あざが痛々しく残っている。
彼女の仕事は、本のSNSで孤独な齢者や主婦を装い、ロマンス詐欺のメッセージを数百件送信することだった。 英語力などミリも必ない。渡された本語のマニュアル通りに、嘘のを囁き、を騙し取るための具。 ノルマに届かなければ、事はいスープ杯に減らされ、スタンガンで制裁を受ける。
「ママ……パパ……志……誰でもいいから、助けて……」 乾いた唇から漏れるのは、かつて自分が踏みにじり、見してきた者たちの名だった。 どれだけ悔しても、過は戻らない。 自分がに撒き散らしてきた理尽な悪が、何倍もの暴力となって自らの肉体をすり潰していく。
そのだった。
ズドォォォォンッ!!!!
敷のゲート方面から、夜空を真っ赤に染めげる巨な爆発音が轟いた。 衝撃波で部の窓ガラスが斉に々に吹きぶ。
「な、何事だ!?」 現の警備員たちが銃を構えて叫ぶもなく、によって部全体が完全な暗黒に包まれた。
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パパパパパッ! パン! パン! けたたましい銃声と、属を引き裂く器の炸裂音。
「くなッ!! カンボジア国警察特殊部隊、ならびに国際刑事警察構(インターポール)だ!!」
拡声器から響き渡る言語の号。 閃弾(スタングレネード)が内に投げ込まれ、昼のような閃と轟音が炸裂した。 武装警備員たちが鳴をげて武器を取り落とし、次々とに組み伏せられていく。
本の警庁から派遣された捜査員と、装備の現治部隊が崩れ込んできた。 本・タイ・カンボジア国同による、国境帯の巨特殊詐欺シンジケートに対する規模斉摘発作戦だった。
「警察……? に、本の警察……!?」 デスクのにいつくばっていた真澄は、を啜るようにして捜査員の元へ縋り付いた。 「助けて……! 私、本です! 無理やり連れてこられたんです!!」
捜査員がフラッシュライトで真澄の顔を照らし、端末の照データを素く確認した。 その瞳には、同のは切なかった。
「成瀬真澄だな」 徹な声。
「あ……え……?」
「本国内において、組織犯罪処罰法違反、ならびに詐欺幇助の容疑で逮捕状がている。柄を拘束する」
ガチリ。 両首に嵌められた、たい属の錠。
「え……? 逮捕……? 私、被害者よ!? 騙されてここに連れてこられたのよ!!」 泣き叫ぶ真澄を、捜査員は容赦なく引き起こした。