"義弟嫁の「セレブ家族」に隠された十二年前の秘密" 第5話
ドカドカと響く品な音とともに、リビングへ崩れ込んできたのは、代半ばとおぼしき太りの男性と、ケバケバしい化粧にを包んだ派な女性だった。 男性はブランドロゴが巨にプリントされた悪趣なジャケットを着流し、顔を真っ赤にして鳴り込んできた。
「うちの真澄を鳴りつけた無礼者はどこのどいつだ!! アメリカ帰りの貴なが娘に、貧乏の残飯をわせようとしたそうじゃないか! 慰謝料として千万円を揃えて支払え!!」
母親もピカのバッグを振り回しながら甲い声を張りげる。 「そうよ! たかがしがない品会社の男夫婦のくせに、次期社の妻である真澄ちゃんを虐待するなんて許さないわ! 座して謝りなさい!」
喚き散らす両親の背に隠れ、真澄さんは「そうよ! パパ、もっと言ってやって!」と卑た笑みを浮かべている。 だが――。
腕を組んでリビングの央にっていた幸介は、眉ひとつかさなかった。 それどころか、憐れむようなたい瞳で、真澄さんの父親をじっと見つめていた。
「……成瀬(なるせ)さんですね」
父親の鳴り声が、ピタリと止まった。 「……あ? 成瀬……? 何を言っているんだ僧。わしの名は『スミス・ジョンソン』……いや、今は田だ! 成瀬などという名、らん!」
慌てて元を押さえる父親。
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その額に、ツッとたい脂汗が流れた。 幸介はフッとで笑った。
「とぼけても無駄ですよ。あなたがに本から逃した、元・佐伯精の財務部……成瀬博(なるせ・ひろし)さんですね」
部の空気が、瞬で凍結した。 成瀬の顔から、急速に血の気が引いていく。 「な……な、なぜ……その名を……」
母親もガタガタと震えし、夫の腕に縋り付いた。 「あ、あなた……!? どうしてこの男が……!?」
「パパ? ママ? 何言ってんのよ、この男を殴り倒してよ!」 状況が理解できずに喚く真澄さんを無し、幸介はポケットから静かにスマートフォンの通話画面を掲げて見せた。
スピーカーホンから、で、聞き覚えのある威厳に満ちた男の声が流れてきた。
『……成瀬。ぶりだな。私の声まで忘れたとは言わせんぞ』
成瀬の喉から、ヒュッと引きつった鳴が漏れた。 「さ……佐伯……社……!?」
『おが会社から横領した千百万円……そして、偽造パスポートを使って妻子と共にアメリカへびした罪。……効が成したとって、本へ戻ってきたようだな』
「じ、効だ!!」 成瀬は狂乱状態で叫んだ。 「もの話だ! 業務横領の効はだ! とっくに効は完成している! 警察だってしはできないはずだ!!」
その瞬――。 け放たれた玄関のドアのから、コツ、コツと響くい音とともに、酷な宣告が投げかけられた。
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「刑事訴訟法第百条第項。――『犯が国にいる期は、効はそのを止する』」
暗から姿を現したのは、スーツ姿の叔父・佐伯。 そしてその両脇を固める、名の屈な警庁捜査課の刑事たちだった。
刑事のが、懐から黒い帳といを突きつけた。
「成瀬博。ならびに共犯の妻・成瀬芳。――業務横領の容疑で、逮捕状がている」
「ひいいいぃっっっ!!??」 リビングに、成瀬夫妻の絶叫が霊した。
「くな! 警察だ!」
刑事たちが斉にリビングへ踏み込んできた瞬、修羅は完全なパニックへと陥った。 「いやあああッ! しなさいよ! 私は何もらないわよ!」 ブランド物のバッグを振り回して暴れる母親・芳の腕を、女性警察官が鮮やかに極めてねじ伏せる。
方、父親の成瀬博は、の逃活で染み付いた野の勘が働いたのか、刑事の隙を突いてリビングのドアをすり抜け、玄関へ向かって猛ダッシュした。 「邪魔だ! 捕まってたまるかぁぁッ!!」
「待て! 逃する気だ、追え!」 刑事たちが叫ぶ。 しかし、成瀬が玄関の靴脱ぎにびし、の共用廊へびそうとした、まさにその刹だった。
ガチャリ。 「あーあ、今も万スったわ……兄貴ー、夕飯まだ……」
コンビニの袋をぶらげ、タバコをくわえた呑気な姿で玄関ドアをけた義弟・志と、速キロい勢いで突してきた成瀬博が、正面から激突した。
ドゴォッッ!! 「ぐへぇぇぇぇッ!?」
は絡みうようにして玄関のへ激しく転倒した。