"凶悪犯と殺処分寸前の猫" 第11話
アンソニーの声が、微かに震えた。
「オレオの喉が痛みに鳴るたびに、俺はあなたの恐怖をいしていました。俺のは、の命を奪うために使われてきたです。……にたいのは、自由になって楽をしたいからじゃありません。残りののすべてを、傷ついた命を救うために使いたいんです。もう度と、誰も傷つけない。それを証するためだけに、俺はにたいんです」
エレナは息を呑み、アンソニーの顔を見つめた。
そこにあるのは、に酷な目で銃を向けてきた凶悪犯の顔ではなかった。自らの罪のさに打ちのめされ、それでもなお命のみを背負おうとする、のの痛切な祈りだった。
い沈黙が部を支配した。
やがて、エレナはさく息を吐き、膝のの類を伏せた。
「……審査官の方々」
エレナはマイクに向き直った。
「私は、この男を許すことはできません。ぬまで許すことはないでしょう。……ですが、この男の瞳のに、命に対する真実の恐れがあることだけは、認めざるを得ません。この男が度とを傷つけず、物たちの命を救うことで罪を償い続けるというのなら……私は、仮釈放に反対はいたしません」
エレナは子の向きを変え、度も振り返ることなく部をっていった。
アンソニーはその背に向かって、額が机につくほどくをげ続けた。
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仮釈放の決定がりたのは、の終わりのことだった。
所は、。刑務所の規定に基づき、アンソニーが世話を続けてきたオレオは、受刑者の社会復帰支援規定およびAPLの譲渡基準をクリアし、正式にアンソニーの飼育猫として引き取られることが決定した。
所の夜、Jブロックは奇妙な静けさに包まれていた。
鉄格子の隙から、カルロスがさな袋を差し入れてきた。
「おい、アンソニー。これ、持ってけよ」
に入っていたのは、受刑者たちが分けして編んだ、頑丈な毛糸のキャリーバッグカバーと、製の特製爪とぎだった。爪とぎの裏には、Jブロックの全員のサインが焼き印のように刻まれていた。
「みんなでカンパしたんだ。にたら、オレオに美い缶詰わせてやれよな」
マーカスも鉄格子越しに拳を突きしてきた。
「アンソニー、おが最初にていくのは悔しいが……希望を見せてくれてありがとうよ。俺も来、仮釈放の申請をす。ミケを連れてにるんだ」
アンソニーはひとりと拳をわせた。
「ああ。待ってるぞ。マレア先のシェルターで、いつでもおらの受け入れ準備をしておくからな」
の消灯ブザーが鳴り響いた。
アンソニーの独で過ごす、最の夜だった。
私物の半はすでに段ボール箱に詰められ、部には必最限の毛布と、オレオのケージだけが残されていた。
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ベッドのに横たわると、オレオが器用に毛布のに潜り込んできた。アンソニーの胸板のにを乗せ、顎を男の鎖骨に預ける。
グルルルル、グルルルル……。
、たい鉄とコンクリートの反響音しか聞こえなかったこの空に、満ちりた命の振音が響き渡っていた。
アンソニーはオレオの温かいを撫でながら、井のを見つめた。
から、塀のない世界が始まる。
元受刑者という消えない刻印、社会のたい線、保護施設での過酷な労働。待ち受けている現実は決して甘いものではないだろう。何かにつまずき、再び挫折しそうになる夜も必ず訪れるはずだ。
だが、アンソニーのにはもう、かつてのような暗い絶望はなかった。
「オレオ」
アンソニーがく囁くと、猫は「ニャッ」とさく応え、男の顎を優しく舐めた。
守るべきがある。信じてくれる命がある。
その確信だけで、はどこまでも歩いていけるのだと、このさな毛玉が教えてくれた。
、午。
ペンドルトン矯正施設の巨な鋼鉄製メインゲートが、な油圧音を響かせながらゆっくりとにいた。
私のブルージーンズに、APLから支されたオリーブのワークシャツを纏ったアンソニーが、ぶりに塀のの面を踏みしめた。朝の澄み切った気が、肺の奥くまで染み渡る。