"凶悪犯と殺処分寸前の猫" 第10話
きようとするこの子の背を支える、あなたののひらよ」
処置はに及んだ。麻酔を打たれ、細い管を尿に通される、アンソニーはオレオのを両で握りしめ続けた。
「ぬなよ、オレオ。にるんだろ。広い芝のを、で歩くんだろ……!」
械の警告音が鳴り響く処置で、アンソニーは祈り続けた。神を信じたことなど度もなかった男が、ただひたすらに、目ののさな命の続を乞い求めていた。
夜がける頃、閉塞していた尿管から溜まっていた毒素が排され、オレオの体温が徐々に正常値へと戻り始めた。
ピクン、とさながいた。
オレオがい瞼をゆっくりとき、ぼんやりとした線でアンソニーの顔を見げた。そして、力を振り絞るように、乾いた舌で男の指先を回だけ舐めた。
「……よかった……神様、ありがとうございます……」
アンソニーは処置台に額を押し当て、声をげて泣き崩れた。
その夜、刑務所の消灯ブザーが鳴り響いたも、Jブロックの誰もが眠りにつかなかった。オレオが命を取り留めたというらせが守を通じて伝えられた、分いコンクリートの壁を越えて、受刑者たちの堵の吐息と、静かな拍がのに溶けていった。
オレオの回復とともに、アンソニーの刑期にもきな転が訪れていた。
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所内での模範な、毒殺未遂事件における沈着静な対応、そして猫プログラムにおける指導な役割が評価され、州の仮釈放委員会から「面接審査(パロール・ヒアリング)」の招集通が届いたのだ。
審査の期は。
だが、その審問の席には、越えなければならない最もくてい壁が待っていた。
、アンソニーがシカゴの料品に押し入った際、レジカウンターにっていた主の妻——エレナ・ヴァスケスが、被害者遺族の代表として見陳述に席するという連絡が入ったのだ。
当、アンソニーの発砲した銃弾は主の肩を貫き、夫は恐怖のあまり臓発作を起こして期の遺症に苦しんだ。
面接のガラス越しに座るアンソニーのに、子に乗った髪の初老の女性が現れた。
エレナ・ヴァスケス。その瞳には、の歳を経ても消えることのない、い恐怖と憎しみのが宿っていた。
「……カーターさん」
エレナの声はかすれていた。マイク越しに届くその音に、アンソニーは背筋を伸ばし、くを垂れた。
「はい、ヴァスケス夫」
「私は今、あなたをこの刑務所からさないよう、委員会に訴えるために来ました」エレナは震える指先で類を握りしめた。「あなたがどれほど刑務所ので『派な模範囚』を演じていようと、猫をがって涙を流していようと、私と夫の奪われたは戻りません。
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毎晩、銃声をいして目を覚ます私の苦しみが、猫匹で帳消しになるとでもっているのですか?」
同席していた審査官たちが、厳格な線をアンソニーに向ける。
アンソニーは、弁解の言葉を切にしなかった。「庭環境が悪かった」「若気の至りだった」などという言い訳は、目のの被害者の苦痛のでは何の価値も持たない芥に過ぎないことを、彼はオレオとの活を通じて痛いほど理解していた。
「……ヴァスケス夫」
アンソニーはゆっくりと顔をげた。その瞳には、切の虚飾のない、剥きしの真実だけがあった。
「あなたが俺を許す必はありません。許してはいけないんです。俺があなたご夫婦から奪った平穏と健康は、俺がかけても、どれほど苦しんでも、償い切れるものじゃありません」
アンソニーは両を膝のに置き、々と腰を折った。
「俺は、自分がだとはっていませんでした。を傷つけ、奪うことしからない獣だとっていました。……ですが、この刑務所で、虐待されてを恐れていた匹の猫に会いました。その猫の傷を当てし、怯える瞳を見つめ続けるうちに、俺はようやく気づいたんです。俺がにあなたので引きを引いた、俺がどれほど残酷な恐怖を、のに与えたのかということを」