"しおれた野菜と30万円" 第6話
「よし……次は、兵糧攻めだ」
私は仕事用のノートパソコンをき、ネットバンキングの管理画面にログインした。 毎に自実されていた、母・久美子の座への【定期自振込・万円】の設定画面をく。
『設定を解除しますか?』 画面のダイアログに対し、私は迷うことなく【実】をクリックした。
続いて、通信キャリアのマイページへアクセスする。 妹・ゆりが使っている最型スマートフォンの契約者名義は、学代から私のままだった。毎の万千円を超える通信費と端末代の引き落とし座を、私のメインバンクから削除し、利用止予告の続きを完させる。
「修平さん……仕送りも、携帯も止めちゃって丈夫なの? お義母さんたち、逆して鳴り込んでくるんじゃ……」
「鳴り込んでくればいい。その瞬に〇番を押すだけだ」
私の声に、片の迷いもなかった。
母は、私が「親孝な息子」であり続ける限り、自分たちの活は永に保証されているとタカをくくっている。妹もまた、兄の脛をかじることを当然の権利だと錯覚している。 の善と労働力に寄しながら、その宿主の最の妻を蹴にするような害虫に、円たりとも恵んでやる筋いはない。
「綾野、台所の片付けをしよう。……あいつらが置いていった、あの腐った根の葉も、証拠として写真を撮っておくんだ」
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私たちは台所へ戻り、空っぽにされた蔵庫の内壁、投げ捨てられたしおれた野菜、乱暴に荒らされた引きしの写真を、スマートフォンで角度を変えて何枚も撮した。 記録を残すという作業をめるうちに、綾野の表から「怯え」が消え、凛としたさが宿り始めていた。
片付けを終え、温かいお茶をんでいた夜過ぎ。 茶封筒のから取りした父の古い類を検分していた私の指が、ある通の黄ばんだ公類ので、再び止まった。
それは――父と母が結婚した当の、の【戸籍謄本】だった。
昭の終わり、きの縦きで作成された古い改製原戸籍謄本。 セピアに変した用の、母・久美子の欄を指先でなぞっていた私の線が、あるで凍りついた。
そこには、線で抹消された、母の過の婚姻記録が克に記載されていたのだ。
【昭 松尾彦ト婚姻】 【昭 協議婚ニヨリ除籍】
「……松尾」
声が喉の奥に引っかかった。 あの通帳に印字されていた、毎万円の振込先名義――【マツオ】。 それは見らぬ第者などではなかった。母の、私と父が会うの『夫の名』だったのだ。
「修平さん、どうしたの……?」
私の異様な気配を察した綾野が、テーブルの向かいから顔を覗き込んできた。
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私は無言で、戸籍謄本のその欄を指差した。
「母さんは……父さんと結婚するに、度結婚していたんだ」
「えっ……? お義母さんが、再婚だったの……?」
「ああ。それは子供の頃、親戚の噂話で々聞いていた。でも、父さんは『過のことは気にするな』と言って、度も母さんのの結婚について触れなかったんだ。……だが、見てくれ、この付を」
母が夫・松尾と婚したのが、昭。 そして、父・修蔵と再婚したのが、そのわずかかの昭だった。
さらに、私の誕は――昭。
「……父さんと母さんは、お見い結婚だったと聞かされていた。だが、母がの夫と別れてから、あまりにもを置かずに父と籍を入れている。そして、あの通帳の記録だ」
父の通帳に残されていた、松尾名義への毎万円の送。 それは、父が倒れる直まで、実に以も続いていた。
婚した夫の親族へ、なぜ妻の現夫が、毎を送り続けなければならなかったのか? 『あのは、私たちに借りを返す義務があるのよ』という母の言葉。
(父さんは、母さんの過の男に、何かみでも握られていたのか……? それとも、母さんが父さんを脅してを毟り取っていたのか……?)
疑惑のはまるばかりだった。 だが、その答えを導きすための決定な「鍵」が、翌朝、向こう側から転がり込んでくることになった。
、午半。