"しおれた野菜と30万円" 第4話
私は今頃、親族からの猛バッシングに晒され、取り乱す綾野を疑い、あるいは「穏便に済ませるために」妻に謝罪をしていたかもしれない。 そう考えただけで、己の浅ましさに吐き気が込みげてきた。
「修平さん……親戚の皆さん、なんて……?」
ソファのでさく震える綾野が、怯えた瞳で私を見げていた。 私はスマートフォンの画面を素く伏せ、く息を吸い込んだ。
「……母さんが、親戚に嘘を言いふらしている。『綾野が万円を使い込んで、お正の準備を台無しにした』とね」
綾野の顔から、サーッと血の気が引いていった。 唇を噛み締め、両で顔を覆う。
「どうしよう……私、親戚の皆さんにどう顔をわせればいいの……? やっぱり、元の本での集まり、私かない方がいいよね……? 私がったら、修平さんまで恥をかいちゃう……」
「馬鹿を言うな!!」
私の声が、リビングに響き渡った。 綾野がビクッと肩を震わせる。私はすぐに声を落とし、彼女のえ切った両を固く握りしめた。
「鳴ってすまない。でも、君がを隠す必なんてどこにもないんだ。恥をかくべきなのは、のにがり込んでを盗み、平然と嘘を撒き散らしているあのだ」
私はスマートフォンをに取り、まずは玄関のスマートロックの管理画面をいた。 母に付与していた鍵のデジタル認証を、迷わず【削除】する。
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物理なシリンダー錠についても、の朝番で鍵業者を呼び、ディンプルキーの最型へ交換する配をネットから叩き込んだ。
さらに、防犯カメラの映像と音声データを、スマートフォンのローカルストレージだけでなく、Googleドライブと付けSSDののバックアップへと転送する。
「修平さん……グループLINEに、反論のメッセージを送るの……?」
「いや、送らない」
私は徹に首を横に振った。
「今ここで文字で反論したところで、母さんは『嫁に言いくるめられたれな息子』を演じて、ますます被害者ヅラをするだけだ。親戚連も、直接の証拠を見ない限り、内びいきで母さんの方をする」
私はちがり、暗い夜の窓のを見つめた。
「元の午、本の広に親戚同が集まる。……母さんはそこで、君を公衆の面で吊るしげ、座させて完全な優越に浸るつもりだ。ならば――その台を、そのまま利用してやる」
最も油断し、最も勝ち誇っているその瞬こそが、敵の喉元に最もく刃を突き刺せる瞬なのだ。
だが、反撃の狼煙をげるに、私にはどうしても解かなければならない「つの謎」があった。 母がり際に呟いたという、あの奇妙な言葉の正体だ。
「……綾野。さっき、母さんがを奪った、何かに言っていなかったか?」
私が尋ねると、綾野はし記憶を繰り寄せるように眉をひそめた。
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「あ……そういえば、ゆりさんが『万もあるじゃん!』って騒いだ、お義母さんが奇妙なことを言っていたわ」
「奇妙なこと?」
「ええ。『修平がしたならうちのよ』って言ったすぐに、さな声で……『あのは、私たちに借りを返す義務があるのよ』って……どこかくを睨みつけるような目で呟いたの」
「借り……?」
私は腕を組み、考え込んだ。 父がにくなって以来、私は毎万円の活援助を母の座へ欠かさず振り込んできた。妹のゆりのスマートフォンの通信料や国民、果ては実の固定資産税の支払いまで、男である私が肩代わりしてきたのだ。 銭な「借り」など、私にもき父にもミリたりともするはずがない。
(あのって、誰のことだ? 父さんのことか……? それとも……)
「修平さん、そういえば……」 綾野が台所の器棚の最段、普段はけることのない引きしを指差した。
「の、お義母さんが実の荷物を理した、『お父さんの古い遺品だから、あんたたちので保管しておきなさい』って押し付けていった茶封筒があったでしょう? あのに、お義父さんの古い類が入っていたはずよ」
私はすぐに引きしをけ、奥から埃を被ったの茶封筒を引きずりした。 表には、几帳面だったき父・修蔵の跡で【類・保管】とかれている。
封を解き、を卓のにぶちまけた。