"入院中、母が勝手に老人ホームへ送られていた" 第10話
曜と曜は協の宅配。曜はリハビリ特化型のデイサービス。第・第曜は福祉タクシーを利用した定期通院。
菜緒がすべての仕事を放りして介護に専する必など、最初からどこにもなかったのだ。適切な公支援と民のサービスを組みわせれば、親の尊厳を奪うことなく、子ども自のも犠牲にしないはいくらでもしていた。
健太が「施設しかない」「を売るしかない」と決めつけていたのは、ただ単に、妻の財産を最も効率よく収奪するための実に過ぎなかったのだ。
仕送りを止してから週が過ぎた頃、菜緒の元へ、予通りの反撃が届き始めた。
実の固定話を解約し、母の携帯話の番号を変更していたため、矛先は菜緒の勤務先へと向けられたのだ。
あるの午、会社の総務部から内線が入った。
『さん、お義母様とお義兄様を名乗る方々から、総務宛てに抗議の話が何度も入っているのですが……』
総務部の困惑した声に、菜緒は徹に応対した。
「申し訳ありません。夫側親族による悪質な銭求および嫌がらせです。すでに弁護士と警察に対応を委任しておりますので、総務部としては『私活の係争には関与しない』と突っぱねていただき、業務に支障がるようであれば威力業務妨害として警察へ通報してください」
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菜緒は自席で受話器を置き、すぐに野弁護士へ連絡を入れた。
そのの夕方、野弁護士のによって、義実宛てに通の面が発送された。
『警告並びに接禁止等求通』。
受任通とともに、職や親族への直接の接触、話、報等の切の禁止が記され、これに違反したは即座に民事の仮処分申請および刑事告訴の続きに移する旨が、弁護士の職印とともに厳格に通告された。
法という名の固な防壁のに、義実からの話はピタリと止まった。
だが、これで終わりではなかった。
週末の曜の午、菜緒が母の買いしを終えて実へ戻ると、扉のに見覚えのある級セダンがまっていた。
の横にっていたのは、健太の父親——義父の浩司だった。
だらしなく伸びた髪に、ブランド物のポロシャツ。かつて菜緒の仕送りで購入させた輸入に寄りかかり、嫌そうに煙の煙を吐きしていた。
「……何の用ですか」
菜緒がややかに声をかけると、義父は煙をもみ消し、横柄な態度で歩み寄ってきた。
「菜緒さん、あんまり調子に乗るなよ。親に対する仕送りを勝に止めて、弁護士までけしかけてきやがって。俺たちを誰だとってるんだ」
「息子の妻の座から、にわたって活費を巻きげていたですよ」
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「だと!? 恩らずな女め!」
義父が声とともにを振りげた。
しかし、その腕が菜緒に届くことはなかった。
「そこまでです。警察を呼びましたよ」
隣のブロック塀のから、制姿の警察官名とともに姿を現したのは、野弁護士だった。
事に義実が実周辺を嗅ぎ回っている形跡があったため、パトロールの化と弁護士の待を請していたのだ。
「な……警察……!?」
義父の顔が凍りついた。
警察官がみて、義父のにち塞がった。
「吉沢さんですね。以から菜緒さんへのつきまとい為について警告がていたはずです。今、をげようとしましたね。任同願います」
「ち、違う! 俺は息子の嫁と族の話しいをしに来ただけで——」
「暴力為の現を現認しています。署で詳しくお話を伺いましょう」
警官に両脇を固められ、パトカーへと連されていく義父のろ姿を、菜緒はややかに見送った。
に乗り込む際、義父はめしそうに菜緒を睨みつけたが、その瞳にはらかな怯えのが混ざっていた。
暴力と威圧で者を支配してきた者たちが、法という代社会のルールのにいかに無力であるか。その現実が、初の青空のでのに晒されていた。
義父の連から週、央法律事務所の会議で、菜緒と健太の婚調に向けた最終協議がわれた。
会議のテーブルを挟み、菜緒と野弁護士が着席する。